第52話 みんなの街、ナゴブロック
図面を見てにんまりする間宮。
「メシヤくんのは、これだね?」
ワシリイ大聖堂風の屋根が描かれた図面を手に横目で聞く店主。
「はい、ナゴブロックでいけますかね?」
「ナゴブロックでアールを表現することも可能は可能だよ。すごく手間はかかるけどね」
「はい、望むところです」
にっこりする設計主。
「で、こっちのお城がイエスくんかな?」
「そうです。現存している桑名城の設計図を元にアレンジを加えました」
「うん、いいねえいいねえ。ぜひこれをそのまま
その発言を聞いてメシヤとイエスは背筋が伸び、遅れて口元が緩んだ。
「それからこのメルヘンチックなのがマリアちゃん?」
マリアは乗り物が好きで、この模型店にもちょくちょく顔を出している。いまどきの若い女の子はスポーツカーを毛嫌いするが、マリアは真逆でバブリーな車愛好家である。
「はい! インナーガレージも作りました! ブルボン朝とモータリゼーションの融合がテーマです!」
目をきらきらさせるマリア。メシヤの熱中度を警戒するマリアだが、全然人のことは言えない。
「ナゴブロックで車も作れるからぜひやってみるといいよ」
「白いフェラーリにしますね!」
「まあ、メシヤ様が運転したら、白馬に乗った王子様ですね」
思ったままを言うレマ。
「冗談はよしてね、レマちゃん。こいつの場合は馬と鹿の二頭立てだわ」
「えらい言われようだなあ。でも、マリアの家も豪華絢爛だし、楽しみにしてるよ」
「ふん、あんたのも相当難しそうだけど、最後までちゃんとやり遂げなさいよ」
「了解。
ナゴブロックのテーマパークが中部エリアに出来たばかりだった。あたらしモノ好きのメシヤも早々と訪れ、その魅力に感染された。ナゴブロックは、もともと建築物をおもちゃで作るというコンセプトで開発された。それゆえ、今回の課題にはおあつらえ向きだったのだ。
メシヤが曲線部分をナゴブロックで表現できるか不安がっていたが、ナゴブロックは1マスだけの単ブロックから、カーブをしたRパーツ、柱に使うポールパーツ、植物に使えるラバーパーツ、ガラス窓に使えるクリアパーツなどと多彩に取りそろえている。
ただ、メシヤがやろうとしているワシリイ大聖堂はドーム状なので、それは地道に平パーツを積んでいくしかない。
世界にある各種代表的な建築物のナゴブロック設計図というのは、すでにある。複雑そうに見えるファサードも、ある程度の決まったブロックの積み手順というものがあるのだ。メシヤたちはそれを踏まえて、自分たちの考案した家を建築しようという算段だ。時間もかかるが、根気が無いと続かない。雑な性格よりも几帳面なほうが向いているのは言うまでもない。
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