エメラルド・タブレット

第32話 キング・オブ・キングス

「状況を報告せよ」

 メルヘンチックな一室で、モニターに向かって話かけている少女が一人。


「はい、あのお方はダビデのけん、ソロモンのつるぎを手に入れ、扱い方もかなり手慣れてきております。先日はマナの聖杯も入手しました」

「ほう、メシヤはそこまでたどり着いたか」

「アーロン様、このあいだおっしゃっていたことは本当なのでしょうか?」

「ああ、本当だ」

「恐ろしくもありますが、ぜひ私もこの目で見届けたいものですね」


「救世主とは、ポップスターであり、トリックスターである。恐れられもするが、愛される存在だよ」

「それは、確かに感じます」

「お前も妻にしてもらえばいい」

「はいっ?」


「救世主はキング・オブ・キングス。何人もの妻を娶って当たり前だ」

「それはそうですが・・・・・・」

「お前もあの男を好いておるのだろう?」

「私は一番でなければ嫌です」

「一番も二番もないさ。みな平等だ」

「分け隔てない、というのは当てはまりますね。優しいだけじゃなく、強いです。彼は」


「救世主の世継ぎを産んでみたくはないか?」

「ライバルが多そうですね。望むところですが」

「その意気だ。石板のことは頼んだぞ」

「アバンティ(了解)」



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