これからは、ふたりで・・・
勝利だギューちゃん
第1話
「うあー、もう限界」
彼女と登山をしている。
彼女はベテランだが、僕は初心者。
おまけに、運動不足。
早くも、その場にしゃがみこんだ。
「情けないな、それでも男なの?」
「男女は関係あるか・・・」
「仕方ないな・・・ほら、つかまって」
差し出された手を握る。
「大丈夫、君はひとりで歩いて行ける」
そのあと、彼女は仕事の都合で海外へ行った。
最初のうちは、連絡を取り合っていたが、すぐに途絶えた。
所詮は、その程度の想いだったのだろう・・・
僕は僕で、自分の仕事を見つけ、毎日が忙しい。
しかし、相変わらずの体力のなさを感じた。
「真面目に鍛えたほうがいいな」
そう思いつつ、実行が出来ずにいた。
数年後、久しぶりに登山をしてみることにした。
昔、あの子と登ったあの山へ・・・
しかし、やはり僕にはハードのようだ。
デスクワークなので仕方ないが、運動はしたほうがいいと、
しみじみ想う。
完全に、膝が笑っているが・・・
でも、今更なげいても、遅い。
「仕方ない、少し休もう」
僕は、木の木陰で横になった。
風が心地いい。
「お疲れですか?」
ふいに声をかけられた。
逆光で顔は見えない。
でも、懐かしい声・・・
「相変わらずだね」
「ほっとけ」
「でも、君はちゃんと自分の足で歩いているんだね」
「君もな・・・」
差し出された手を握る。
「大丈夫、これからは私と一緒に歩こう」
これからは、ふたりで・・・ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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