ビッグなダイナマイトペアの異世界転生

鳥鳥 火頭

第1話 大国からの転生者

「ヘイ''ボブ''!ヘイ!起きてくれよ!」

「ジム!寝起きなんだ。うるさく言うなよ」

「周りをよく見てみろよ。そうもいってられなくなるぜ!」

ボブは覚醒した。それと同時にこの場所が、昨日二人で夜遅くまでジャパニーズアニメを見ていた自室ではないことにも気がついた。

「オーマイガ!ジム!俺達はいつ外に出たんだ!外だとしてもこんな草原は近所にはなかったぞ!」

「ボブ!きっと俺達をここに連れてきたのはエイリアンだ。俺達が眠りに落ちる前に強い光を見た気がしたんだ。エイリアンにアブダクションされたんだぜ!きっと!」

「リアリー!」ボブは未だに混乱する脳ミソから、こんな状況に繋がる記憶を探していた。確か寝る前は二人でアニメの鑑賞会をしていたはずだ。何度も頼み込んで、父親が幼少期にいた日本で録画したというアニメの秘蔵コレクションを見ても良いと許可をやっとの思いで得たから、親友のジムと一緒に見ていたはずなのだ。

意識を失う直前に見ていたのは確か『ポケモン』だっただろうか?記憶が確かなら自分の好きな“ポリゴン”が出ていた気がするが断言は出来ない。だが、今は過去のことよりも、このクソッたれな現在の状況について考えなければならないことは、誰に言われなくても分かっていた。

ボブが腕を組んで考えていると、ジムが何か見つけたようだ。「見てみろよボブ!あそこに木で出来た看板があるぞ」

近づいてみると看板の周りには一本の砂利道が続いていることが分かった。そして看板には文字らしきものが黒く書かれていた。

「やったぞジム!この地域には文明社会があるようだぞ!だがこの文字はどう見てもアルファベットではないようだ…」

ボブは悲しんだ。いくら助けを求められる都市が近くにあっても、自分達と言語が違うのなら必ず家に帰れるとは限らないからだ。

「諦めるなよボブ!文字は読めなくても矢印は俺達にも読める。ほら!」看板の矢印とジムが指差す方向には、遠くに人工物のようなものが見ることが出来た。「言葉は通じなくても、案外身振り手振りでなんとかなるものさ。とりあえず行ってみようぜ!」

「……ああ、そうだなジム!行こう!」ボブはジムの言葉に勇気を得た。絶望など俺達二人には似合わない。まだ希望はあるのだと!

決意を持って歩く二人の足取りは軽く、簡単にしか舗装されていない道など二人にとって問題などはなかった。

歩きながら二人はいつも通り談笑しながら歩いた。不安な心をいつもの笑い話で慰めるという理由もあったが、それ以上にこの状況に対して、さっきまでの“わからない恐怖”という感情が一転して、“ワクワクする高揚感”へと変わっていたからだ。二人は子供のように笑いながら道を進んで行った。

この後に待ち受ける 二人の運命など知るよしもなく……

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