1277.『テスト用迷宮統合システム』、発動!
俺は、テスト用第七号迷宮『ビルダー迷宮』のダンジョンマスターに就任した。
そして、いつものようにいくつかの事柄を確認した。
通常なら、これでこの迷宮を去るところだが、もう一つ確認することがあるし、まだやることも残っている。
もう一つ確認することというのは、地下一階層にあった隠し部屋と、そこに置いてあった魔導爆弾と呪われた金棒についてだ。
これについて尋ねたところ、ダリセブンは知らなかった。
ただ『休眠モード』に入るときに、地下一階層の地上への出入り口だけは、封鎖をしていなかったらしい。
それ故、地下一階層だけは開放され、なんらかの用途で利用されていた可能性があるとのことだった。
その時に隠し部屋が作られて、魔導爆弾や呪われた金棒が保管されていたのだろう。
これで確認すべき事は、全て確認した。
俺は、最後のやることに着手する。
それは、テスト用第八号迷宮『システマー迷宮』の『迷宮管理システム』ダリエイトに連絡することだ。
この第七号迷宮『ビルダー迷宮』の発見には、大きな意味があった。
これで全てのテスト用迷宮を発見したことになるのである。
そして第七号迷宮の発見は、ダリエイトから強く頼まれていたことでもあった。
と言うことで、俺は、ダリエイトに念話を入れた。
『システマー迷宮』も『再起動復旧モード』に入っていたのだが、実はそれは既に終わっている。
前に報告されていたのだ。
『再起動復旧モード』に入る前も、大きな損傷がないから短期間で終わる可能性があると言っていたが、実際、先行して『再起動復旧モード』中の他の迷宮を追い抜いて、早く終了してしまったのだ。
ダリエイトが、テスト用第七号迷宮を見つけて欲しいと強く頼んできたのには理由がある。
八つのテスト用迷宮が揃うと、何か凄い機能が発動するらしいのだ。
俺は、何が起こるか楽しみな気持ちを抑えつつ、早速ダリエイトに第七号迷宮を見つけたことを報告した。
「マスター、ありがとうございます。さすがです!
八つのテスト用迷宮が揃いました。
ほとんどのテスト迷宮は『再起動復旧モード』中ですが、問題ありません。
隠された機能が発動します!
是非、ダンジョンマスタールームへおいで下さい」
おっ、早速すごいことが起きちゃうわけね。
これはすぐに行かないと。
俺は、『システマー迷宮』に転移で移動した。
「マスター、改めて感謝いたします。ありがとうございます。
マスターに、八つのテスト用迷宮のダンジョンマスターの刻印波動を確認しました。
これにより、隠された機能を開放いたします」
ダリエイトが、ハイテンションだ。
すぐに、機能開放の手続きを始めるらしい。
なんとなく、待ち切れないといった雰囲気も伝わってくる。
ダンジョンマスタールーム中央の床が開き、下へと続く階段が現れた。
なんと、ここよりさらに下の階層があったとは驚きだ。
「マスター、どうぞこちらへお進み下さい」
案内に従い階段を降りると……特別なシステムが一斉に稼働したようで、いろんなパネルに光が灯った。
ここはまるで……ロボットアニメなんかで見るような秘密基地の指令室というか、戦闘ブリッジみたいな感じだ。
階段を降りてすぐにある広い空間が、戦闘ブリッジのようになっているのだ。
前方に大きなパネルがあり、そこに向くかたちで様々な操作を行うと思われる机と椅子が、四列配置されている。
前面の大きなパネルに対して一番奥の位置、つまり四列に並んだ机のさらに奥の位置に、宇宙戦艦の艦長が座るような特別な席がある。
なにこれ!?
めっちゃかっこいいんですけど!
よく見ると、前面の大きなパネルの左右には、小さいパネルがいくつも配置されているようだ。
そして四列に並んでいる横長の操作机の左右には、半円形のドーム形状の装置があり、ここだけで合計八個ある。
艦長席というか指令席の左右にも一つずつあるので、合計すると十個ある。
「『テスト用迷宮統合システム』が、本格稼働します」
ダリエイトがそう言うと、十個ドーム形状の装置が点滅し始めた。
『テスト用迷宮統合システム』というものが、本格的に稼働したようだ。
「ダリエイト、話しかけても大丈夫かい?」
「はい、大丈夫です」
「これはどういう状態なのか説明できるかい?」
「はい、テスト用迷宮八つが同一マスターに帰属した場合、そのマスターを遺産継承者にふさわしい者と認定し、迷宮の隠された機能を開放して発動いたします。
その第一弾として、全てのテスト用迷宮のシステムを連結しています」
「システムを連結って、どういうこと?」
「はい、今ままでは各テスト用迷宮の安全を考え、他の迷宮の情報は秘匿事項とされていましたが、全てのテスト用迷宮について、相互にアクセスできるようにして、連携するということです」
「えーっと……それはつまり……」
「それぞれ迷宮として独自性は維持しつつも、姉妹迷宮として常に連絡連携ができるという状態になります。
これに伴い、情報のブラッシュアップ及び迷宮仕様のバージョンアップなども可能になります」
「なにそれ、めっちゃすごいね。でもほとんどのテスト用迷宮が『再起動復旧モード』中だけど、大丈夫なの?」
「全く問題ありません。迷宮自体が存在し稼働していることが重要です。
『再起動復旧モード』中でも、この機能を働かせることができます。
相互アクセスができるようになるので、『再起動復旧モード』を早めることも可能と思われます」
おお、それはめっちゃいい!
いいこと尽くしじゃないか!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます