1234.エリアマスター討伐の、戦利品。

 『エリアマスター』の討伐を終え、一息ついたレオニールさん達は、討伐の報酬とも言える宝箱の確認を始めた。


 大きな宝箱が発見されたのだ。


 もちろん、俺たちも一緒に見させてもらう。


 大型宝箱の中には、五つの品が入っていた。


 一つ目は、『魔鎌 オオカマキリ』という大鎌だった。

 死神が持っているような凶悪な感じの鎌だ。

 『極上級プライム』の『魔法の武器マジックウェポン』で、鎌と柄が伸びて大きくなる機能があるようだ。


 二つ目は、『伸縮の鎖鎌』という『極上級プライム』の『魔法の武器マジックウェポン』で、二本の鎌に鎖が付いていて、その鎖を自由に伸縮させることができるというものだ。


 三つ目は、『マンティスシールド』という大盾で、これも『極上級プライム』の『魔法の武器マジックウェポン』だ。

 大きな盾の両側に、折りたたまれたカマキリの鎌脚がついている。

 盾で攻撃を受け止めたときに、鎌脚が伸びて対象を捕らえたり、切り付けたりできる攻防一体の盾なのだ。

 ダークグリーンに赤の縁取りが入っていて、かなりかっこいい。


 四つ目と五つ目のお宝は、『ゲッコウパール』『ゲッコウクリスタル』という特別な宝石だった。


 二つとも、拳大くらいの大きさの原石だ。


 『ゲッコウパール』は、黄色い巨大真珠といった印象だ。

 『ゲッコウクリスタル』は、黄色がかった半透明なクリスタルである。


 二つとも加工して装飾品にすると、かなり高値で取引されるそうだ。

 『エリアマスター』を倒した時ぐらいにしか手にすることができない、レアな宝石なのだそうだ。


 俺は、『サブマスター』戦の戦利品と同じように、一つ一つ触らせてもらい、超早業で『波動収納』に出し入れした。

 波動情報を取得したから、いつでも『波動複写』でコピーすることができる。


 もっとも、これらは『エリアマスター』を倒した戦利品で、同じものが出回っている事はほとんどない。

 だから、この迷宮都市で使うと不自然なので……基本的には、俺のコレクションアイテムだ。


 ただ俺の仲間たちで使える者がいれば、渡して使わせてあげることはできる。

 迷宮都市で使わなければ、問題ないだろう。


 今回のお宝の中で、武器は鎌系の物が二つなので、レオニールさん達にとっては、微妙かもしれない。

 クランメンバーの攻撃陣の中に、鎌を使う人はいないからね。


 盾は、『タンク』ポジションの人なら誰でも欲しがるだろう。

 見た目もかっこいいし、機能的にも素晴らしいからね。

 おそらく売却しないで、自分たちで使うだろう。


 『サブマスター』戦『エリアマスター』戦で出てくる戦利品は、自分たちで使うこともできるが、売却するとかなり高値がつくそうだ。

 それ故に、売却することも多いらしい。

 それを楽しみにしている商人や貴族も多いと、前にギルド長が言っていた。


 特別なオークションが開催されることも、あるらしい。


 それから、カマキリ魔物の素材は元々いい値段がつくらしいが、今回倒したのはそのキングで、かつ『エリアマスター』なので、かなりの値段がつくだろうと、クランのみんなが楽しそうに話をしていた。


 切り落とした鎌脚の鎌の部分は、そのままでも武器になりそうだし、残りの脚も加工すれば、槍などにもできるだろう。


 大顎の部分は、戦斧などにできるらしい。

 その他ボディーパーツも、防具として使えるだろう。


 レオニールさん達は、ここまでの道中でも、かなりの昆虫型の魔物を倒してきている。

 それだけでも、相当な金額になるだろう。


 今回の『エリアマスター』討伐で、総額いくら稼げたのか、後で聞いてみたい。

 準備も入念にしていたようなので、費用もかなりかかっていると思う。

 収支がどうなっているのかも、参考までに知りたいところだ。


 魔法カバンを六つ持ってきているとのことだったが、『階級』の高い魔法カバンでないらしく、容量があまり残っていないと言っていた。


 そこで俺は、サブマスターのミミズ魔物キングとエリアマスターのカマキリ魔物キングの死骸を、魔法カバンに収納してあげることにした。


 実際は、魔法カバンに収納する体で『波動収納』に収納したんだけどね。

 それによって、これらの魔物の死骸の波動情報も手に入ったので、素材が必要な場合はいつでもコピーできるようになった。

 死骸の収納まで協力してもらって申し訳ないとレオニールさんが頭を下げていたが、俺としてもメリットしかないのである。


 これからレオニールさん達は戻るわけだが、帰りも魔物に遭遇するので、その分の収納スペースを考えると心もとないと思っていたので、俺の収納の申し出は、非常にありがたがられてしまったのだ。


 レオニールさん達は、ここに来るまでに四日ほどかけて魔物を倒しながら進んできたわけだが、帰りは同じルートで戻るので、二日ほどで戻れるのではないかとの事だった。

 通ってきたフロアの魔物は、数がだいぶ減っているので、戦いにかかる時間が減るから、早く帰れるという見込みのようだ。


 迷宮の魔物は、殲滅したとしてもしばらくすると、また発生する。

 だが、それにはある程度時間がかかるので、帰り道に魔物の数が戻っているという事は、多分ないだろう。


 俺は、走って帰るという話をして、先に帰らせてもらおうと思っている。


 二日間同行してもいいんだけど、早く帰りたいんだよね。

 別れてしまえば、転移で帰ることもできるしね。


 ただ迷宮の入口にあるギルドの受付には、入る時に届け出ているから、戻って来たという届け出もしないといけない。

 だから、転移で帰ってそのままというわけにはいかないのだ。


 もうすぐ夕方の時間帯になるので、夜通し走ったということにして、明日の朝に再び転移で迷宮に来て受付まで行って、帰還の届出だけしようと思っている。


 『一撃クラン』に同行していたギルドの調査部のメンバーは、帰りも同行するとの事だが、リーダーで綺麗セクシーな受付嬢のナナヨさんは、宝箱に入っていた品を確認した時点で、すでにこの場を去っている。


 報告の為、一足先に出発したのだ。


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