1102.活動報告と、いろいろな反応。
付喪神として覚醒してくれた魔法の貯金箱の付喪神セントンちゃん達との話を終えた俺は、『竜羽基地』に集まっているいつものメンバーに対して、迷宮都市での出来事をかいつまんで報告した。
皆かなり驚いていた。
特に、キング魔物の多発や魔物の『
『コウリュウド王国』の中にも、規模は小さいが魔物の領域は多数存在している。
すべての領に、魔物の領域はあるのだ。
ここの魔物たちが、『
少なくとも『
国王陛下が教えてくれた。
俺が『アルテミナ公国』での活動に専念できるように、『コウリュウド王国』全土に警戒態勢を取ると言ってくれた。
また王立研究所に命じて、過去の資料でキング種の多発に関係する資料がないか調べさせるとも言ってくれた。
俺の報告の中で、なぜかみんなが面白がっていたのが、『キング殺し』の二つ名だ。
まだ迷宮に入ってもいない時点で、二つ名が付いたことが、笑えたようだ。
俺らしいという感じで、みんなニヤついていた。
特にユーフェミア公爵やその義母のマリナ騎士団長は、大受けだった。
まぁダメな子供を見るような目は、されなかったからいいけどさ。
クランを作ったことも、面白いと言ってくれた。
国王陛下やユーフェミア公爵たちは、『フェアリー商会』を『アルテミナ公国』に出店してしまうと、確かにかなり目立つから、進出しないという判断も一理あると言ってくれたのだ。
たが、どのみち目立っちゃうのだから、あまり意味がなかったのではないかと、笑われてしまった。
マリナ騎士団長には、「相変わらず無駄な抵抗をするもんだねぇ」と呆れられ、ダメな子供を見る目で見られてしまった。
「まったくさね」とユーフェミア公爵が追従し、同様にダメな子供を見る目で俺を見た。
結局、二人にダブル攻撃をされてしまったのだ……トホホ。
それから俺は、『ハンター育成学校』の講師陣である元冒険者パーティー『炎武』の皆さんに礼をした。特にローレルさんにだ。
『炎武』の先輩パーティーである『
みんな、俺の話を聞いて喜んでいた。
『
本当は自分たちも迷宮都市を訪れて、クランを手伝いたい気持ちが強いと、改めて本音も吐露していた。
だが、今自分たちが行けば、より注目が集まってしまうので、自重すると言ってくれた。
いずれローレルさん達にも来てもらおうと思っているが、今はまだ時期尚早なので、我慢してもらうしかない。
いずれ悪魔の根城を突き止め、悪魔を駆逐したら、『アルテミナ公国』を本来のあるべき状態に戻すことができるだろう。
その時には力を借りるつもりだし、大きな役割を果たしてもらうつもりでいる。
これは、元王女であるアグネスさんやパートナーのタマルさんについても、同じだ。
二人も、はやる気持ちでいると思うが、我慢してくれている。
『フェアリー商会』の幹部として頑張ってくれている元冒険者のサリイさんとジェーンさんも、同様に自重してくれている。
俺の『アルテミナ公国』での報告を聞き、この数日どれほどハードだったか、みんな理解してくれたと思ったのだが……なぜか、少しの時間くらい戻ってこれるはずだ的な指摘を何人かのメンバーからされた。
ほぼ貴族女子メンバーからだけどね。
“約束が違う”みたいなことを、チクリチクリと言われてしまった。
まめに戻って来ようとは思っていたんだけど、予想外に忙しかったんだよね。
理解してほしいのだが。
あまり追及されたくなかったので……今後はできるだけ顔を出す、みんなが集まる夕方に来るようにする、と約束してしまった。
できない約束は、したくなかったんだけどねぇ。
まぁ情報共有は大事だから、一時間だけでも帰ってくるようにしよう。
そう思いながら、改めて冷静に考えると、時間帯が良くないよね。
国王陛下たちのように、午前中に決裁したり意思決定して、部下に任せるというかたちなら、夕方に時間を作りやすい。
サーヤなど商会で仕事をしているメンバーもそうだ。
でも俺の場合は、そういう感じじゃないんだよね。
夕方の時間って、中途半端というか……何かの途中である可能性が高いと思うんだよね。
まぁ冒険者としての活動やクランの運営が落ち着けば、大丈夫にはなるだろうけど。
現時点では、晩御飯が終わった後の方が、動きやすい気がする。
そう思った俺は、また非難されないように、保険という意味で、「夕方もしくは晩御飯の後の時間帯で、来れるときに来る」と訂正した。
そして苦笑いで、お茶を濁しておいた。
そんな中、盾の付喪神フミナさんが、俺のクランを手伝いたいと申し出てくれた。
『ホムンクルス』のニコちゃんと、船の付喪神のエメラルディアさんも、一緒にクランに入りたいと言うのだ。
確かに人手が足りないから、彼女たちが手伝ってくれると助かる。
それに、盾を背負って歩くフミナさんと船の舵輪を背負って歩くエメラルディアさんは、迷宮都市なら、ちょっと変わった装備の冒険者という程度で、それほど目立つ事はないだろう。
「私も……リリイちゃんとチャッピーちゃんのお手伝いがしたいです……」
ニコちゃんが、改めて俺に申し出た。
ニコちゃんにとっては、小さな子供たちと一緒にいると言うのも、いいかもしれないな。
「チーム付喪神のミッションもわかっていますが、できれば私もお手伝いしたいです。それに今回の魔法の貯金箱の付喪神のように、迷宮都市のような場所には、他にもいる可能性があると思うんです」
エメラルディアさんも、強く訴えてきた。
「願いを聞いてやったらどうじゃ。ワシらはツクゴロウ博士と行動するから、付喪神を探すという任務は、ワシらでできる。それに転移の魔法道具を使えば、みんないつでも集合できる。別れて行動しても問題ないじゃろ」
クワ付喪神のクワちゃんが、そう言って後押ししてくれた。
「そうじゃの、いいじゃろう。ニコちゃんには、同じ年頃の友達がいっぱいおったほうがいいじゃろう」
ツクゴロウ博士も、ゴネずに賛成してくれた。
「分りました。じゃぁそうしましょう」
俺が了承すると、フミナさん達は、嬉しそうに頭を下げた。
思わぬ申し出だったが、よかったかもしれない。
ここにいるメンバーの中で、比較的自由に動けるのは、彼女たちなんだよね。
貴族女子のメンバーは、それぞれ仕事があるし、『フェアリー商会』のメンバーも仕事があるからね。
チーム付喪神は、自由にしてもらいつつ、他の付喪神を探すという任務を担当してもらっていた。
自由に時間が作れるポジションではあったんだよね。
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