1101.貯金箱的種族固有スキルと、子豚的固有スキル。
魔法の貯金箱の付喪神『付喪神スピリット・ピギーバンク・
『ため込み体質』というスキルは、『基本ステータス』の数値を、オーバーチャージできるというスキルだ。
『基本ステータス』の『身体力(HP)』『スタミナ力』『気力』『魔力(MP)』が、本来の総量を超えてチャージできるという凄いスキルなのだ。
詳細表示によると、スキルレベルが1つ上がるごとに、総量の1割ずつチャージできる量が増えるらしい。
スキルレベル10では、二倍までチャージできるようだ。
HPとかMPが二倍になるって、凄過ぎる!
現在のスキルレベルは7なので、通常の7割増までチャージできるということだ……恐るべし!
凄いスキルだと思ったのだが……よく考えたら、『共有スキル』に同じようなスキルを持っていた。
それは『ドワーフ』のミネちゃんが、所持していた『暴飲暴食』スキルだ。
『暴飲暴食』スキルは、フードファイターのミネちゃんらしいスキルなのだ。
余分な栄養を贅肉とすることなく、『基本ステータス』の『身体力(HP)』『スタミナ力』と『魔力(MP)』に変換できるというびっくりスキルなのだ。
変換するというのは、充填できるということで、食べることで、治療ができるということなのである。
そして、『スタミナ力』と『魔力(MP)』については、オーバーチャージができるのである。
スキルレベルが10だと、規定値つまり総量の三倍までチャージできるのだ。
『スタミナ力』と『魔力(MP)』だけとは言え、三倍は凄いのだ。
最大までチャージすれば、『限界突破ステータス』の俺の数値が三倍になり、すごい量になるのだ。
ただこれをやるには、フードファイターばりに、いっぱい食べないといけないけどね。
あくまで、余分な栄養を贅肉にする代わりに、変換して充填するというスキルだからね。
一律には比べられないが、最大が二倍とはいえ『基本ステータス』全てをオーバーチャージでき、かつ無理に食べる必要がない『ため込み体質』の方がいいかもしれない。
このスキルがあることによって、単純に規定値が二倍に増えた状態になるからね。
そう考えると、『通常スキル』でこの『ため込み体質』と似たような機能のスキルを手に入れたいところだ。
ちなみに、『ビャッコの巫女』となったハナシルリちゃんに発現した『強化術』は、各ステータスの数値を一時的にアップさせることができる。
ただこれは、あくまでスキルを発動したときに一時的にアップさせるだけで、常時維持されているオーバーチャージとは性質が違うんだよね。
二つ目の『種族固有スキル』は、『ピギーバンク』というものだ。
金銭の収集・保管・運用ができるスキルと表示される。
漠然としていてよくわからないが……。
技コマンドが二つある。
『出金業務』と『入金業務』だ。
なんか……銀行みたいなんですけど。
『出金業務』は、金銭を射出して攻撃するコマンドと表示されている。
投げ銭みたいな感じで、攻撃するのだろう。
『入金業務』は、金銭を奪うコマンドと表示されている。
具体的にどう奪うのか書いていないが……まさか泥棒ってことじゃないよね?
RPGなんかで、シーフとかがモンスターからアイテムを盗むっていうのがあるけど……そういう感じなのかなぁ?
いまいちよくわからないが、面白いスキルである事は間違いないだろう。
セントンちゃんたちは、『固有スキル』まで持っている。
『子豚ハウジング』という微妙な名前のスキルだ。
魔力を消費して、一時的な家を建てることができるらしい。
技コマンドに、『鋼鉄の家』『藁の家』『木の家』『レンガの家』というのがある。
なんとなく……おとぎ話っぽいのは、気のせいだろうか。
魔法の貯金箱の付喪神のセントンちゃんたちは、レベルも高いし、スキルも充実している。
戦闘でも活躍してくれそうだ。
なんとなく……お金も貯まりそうな気がするし。
『波動鑑定』を終えた俺は、セントンちゃんたちにチーム付喪神に入ってもらえないかという話をした。
「付喪神同士で集まるのも、面白そうねぇ〜!」と言って、あっさり了承してくれた。
ただ俺に興味があると言われ、しばらくは俺と一緒に行動したいと言われてしまった。
断るわけにもいかなかったので、俺もその申し出を了承した。
それはいいのだが、現代では珍しい存在になった付喪神がいることが広まると、俺に対する注目がさらに高まってしまう。
そんな事態は、避けたい。
それで、俺の仲間たち以外の人がいる場合には、置物として偽装してもらえないかと提案した。
「なるへそぉ〜! 任せてぇ〜!」と言って、あっさり了承してくれた。
クランの子供たちには、特別なゴーレムと説明すればいいかもしれない。
すでに俺が作ったボタニカルゴーレムの『竹取じいさん一号』と『パンダさん一号』が認知されているから、それと同じようなものだと説明すればいいだろう。
これで少なくとも、『ツリーハウス屋敷』の中では動いたり、話したりできる。
まぁ話すことができる魔法のゴーレムって……ちょっといないと思うけどね。
まぁいいだろう。
ちなみに、ツクゴロウ博士が「ワシも一緒に行くのじゃ!」と駄々をこねたが、却下した。
ツクゴロウ博士には、やることがあるからね。
付喪神の捜索を担当しているわけだから、そっちの方面でがんばって欲しいんだよね。
研究者でもあるわけだし、本分を忘れないでほしい。
謎の付喪神だったセントンちゃん達と、一緒にいたい気持ちはわかるが、これから時間はいっぱいあるわけだし。
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