1072.人形を作って、起動成功。

『ツリーハウスクラン』の育成冒険者の為の専用装備を作り終えた俺は、植物素材を使って、いくつかの人形を作った。


 ハートリエルさんが仲間になってくれたおかげで、『植物魔法——植物由来の人形ボタニカルゴーレム』が使えるようになった。


 それを試すために、植物素材で人形を作ったのだ。


 今にして思えば、こっちを先にやって、終えたところで寝ればよかった。

 先に育成冒険者用の装備を作ってしまったがために、この植物素材の人形を作り終える頃には、明け方になっていたのだ。


 それでも、何故か早起きしちゃったけどさ。

 完全な仮眠レベルなので、結構眠い。


 『限界突破ステータス』の俺が、眠いと感じるなんて……ちょっとやばい気がしている。

 『固有スキル』の『怠惰』が、まずいと俺に告げている気がする。


 まぁ相変わらずこの『固有スキル』は、よくわかっていないんだけどね。

 ただ直感的に、これを続けたらやばいと感じるのだ。


 まぁ過ぎてしまったことはしょうがない。


 今晩は、たっぷり睡眠時間を取ることにしよう。



 まず俺が最初に作ったのは、『魔竹』を組み合わせた、いかにも人形ですという造形の物だ。

 しかも職人が作ったのではなく素人が……もっと言えば子供がつくりました的な素朴な感じのものになった。


 太い『魔竹』が胴体で、一回り細い『魔竹』が頭になっている。

 顔の部分には、ピノキオみたいな感じの鼻をつけ、丸く切ったパーツで目も貼り付けた。


 手と足のパーツは、それぞれ二本の『魔竹』を繋げて作った。

 肘と膝で曲がるイメージだ。


 身長は、一メートルくらいだ。


 部分的にくりぬいて、『ワイルド葛』の蔓を使って固定した。


 『魔竹』は赤黒いのだが、着色せずにそのままにしてあるので、ダークな感じで素朴な人形の可愛さはほぼ出ていない。


 『名称』は、『魔竹の人形 竹取じいさん一号』にした。


 別におじいさんの顔をしているわけでは無いのだが……なんとなく、そんな名前をつけてしまった。


 この人形は、『ツリーハウス屋敷』の周りを巡回したり、子供たちの剣術などの練習相手になってもらおうと思っている。


 当然ながら、昨夜作った時点で、待ちきれずに『植物魔法——植物由来の人形ボタニカルゴーレム』スキルを使い、稼働させてみた。


 見事に動き、少しユーモラスな感じで歩いていたのだ。

 足が『魔竹』が二本繋がっている構造なので、時々、カクンという感じになるんだよね。


 おそらくゴーレムの性質からすれば、足が一本の棒でできていたとしても、起動させた時点で関節があるかのように曲げて動くことも可能だ思うが、一応二本のパーツに分けて作ってみたのだ。


 範囲を指定して「巡回しろ」と命じると、ポトポト歩いていた。

 結構可愛いかった。

 子供たちの人気になると思う。


「剣を受けろ」と命じると、俺が軽く落ち込んだ剣を手で受け止めていた。


 魔法スキルによって動かすゴーレムは、やはりイメージの力が大事みたいだ。

 具体的にイメージしながら命じると、色んなことができそうな気がした。

 直感的にそう感じたのだ。


 昨夜は試す対象がいなかったからできなかったが、「○○から○○を守れ」という指示を出しても、ある程度できるかもしれない。


 『勇者武具シリーズ』ほど正確に機能はしないかもしれないが、そこは術者のイメージがはっきりしていれば、ある程度の事はできそうな気がした。


 これも直感的に、そう感じたのだ。

 スキルレベルが10だから、そういう手ごたえも感じられたのかもしれない。


 それから、しばらく発動状態にしていても、魔力が大きく減るということはなかった。


 もちろん、普通のレベルの魔力量ではかなり消費するだろうが、『限界突破ステータス』の俺なら、このボタニカルゴーレムを何体か常時稼働させても大丈夫そうだ。



 それからもう一つ、『ワイルド樫』を使って、お土産で売っているような木彫りの熊を作った。


 といっても鮭をくわえているのではなく、動物園にいるパンダのイメージで作った。


 そして、パンダのデザインで色付けをしたので、パンダの置物と言っていい。


 大型犬というか……豚ぐらいの大きさはあるから、子供が背中に乗って遊ぶこともできるだろう。

 イメージ的には……遊園地の幼児向けゾーンにあるお金を入れて動く乗り物みたいな感じだ。


 『名称』は、『パンダさん一号』にした。



 次に、迷宮で使うための戦闘用のゴーレムにするための人形も作った。


 大人と同じ位の大きさにした。


 二種類作った。


 まず一つ目は、『タンク』タイプの人形だ。


 『魔竹』を使って直径一メートル位の円柱を作り、その中に『ワイルド樫』で作った女の子の人形が入っている。

 その人形は着物デザインの衣装になっていて、おかっぱ頭で、幼いかぐや姫的なイメージなのだ。


 円柱の下のところに、左右に三本ずつ合計六本の足がついていて、動けるようになっている。


 強固な『魔竹』を活かした『タンク』として、敵に立ちはだかる想定なのだ。

 そして円柱の中に入っている女の子の人形が、『魔竹』の棒で敵を殴るという攻撃もできる。


 もう一種類は、『アタッカー』タイプだ。


 『ワイルド樫』と『魔竹』を組み合わせて作ったもので、中型犬位のサイズのウサギに、『タンク』タイプと同様のデザインの女の子の人形が騎乗している造形である。


 女の子の人形は、丸太を担いでいて、その丸太で敵を撲殺するという攻撃スタイルだ。


 『タンク』タイプは、『かぐや一号』という『名称』で、『アタッカー』タイプは、『かぐやライダー一号』という『名称』になっている。

 ちなみに『かぐやライダー』は、三号になったら『V3』にして、四号は『かぐやライダーマン』という名前にしようかと思っている。

 そんな事はどうでもいいが……てか、悪乗りしてしまったようだ……反省、反省。



 これらも、昨夜稼働は成功していて、結構いい感じだ。


 後は、実際に迷宮で魔物相手に戦ってみてどうかというところだ。


 ただ『限界突破ステータス』の俺が、戦闘のイメージをしっかり持って、稼働させれば、結構戦える気がしている。


 今から楽しみだ。



 そして、本当は一番作り方たかったはずの可愛いフィギュアは、作っていない。

 作って動かしてみたかったのだが、もう明け方になったのでやめたのだ。


 まぁいつでもできるから、今度でいいだろう。

 それに、下手に女の子のフィギュアとかを作って動かしてたら、ほんとに変態扱いされちゃうかもしれない。


 そういうことをしても、決して変態ではないということを、俺の仲間たちにしっかり教育してから、やったほうがいいだろう。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る