1063.『状態異常付与』スキルって、凄い!

 ナビーの報告によれば、『状態異常付与』スキルの中の『毒』も様々な使い方ができるようだ。


 『毒』を付与するときに、イメージの力によって『毒』の強さや性質をある程度調整できるとのことだ。


 ナビーはさらっと説明していたが、すごいと思うんだよね。

 『毒』の強さを調整できるという事は、弱毒から即死級の猛毒まで調整できる可能性があるってことでしょう?

 それだけで、めっちゃすごいよね?


 まぁ毒だけに、魔物に使った場合、食材には使えなくなっちゃうけどね。

 悪魔に即死級の毒が効けば、めっちゃ役立つんだけどな。

 ただ悪魔が毒で倒せるとも思えないけど。

 でも……毒の威力によっては、下級悪魔や中級悪魔ぐらいなら倒せちゃったりしないかなぁ?


 それから、『毒』の種類を調整できるっていう事は……倒すだけでなく、いろんな中毒症状を引き起こせるということだろうか?

 イメージ的には……全種類の毒キノコを持っている状態って感じなのかな。


 イメージの力が大事みたいだから、どんな症状かを具体的にイメージできないとダメだろうけど。

 ずっと笑っちゃうとか、ずっとお腹を下しちゃうとか、そんな効果を与えることもできるのだろうか?

 できたとしても……使い道は思い浮かばないけどね。

 単なる嫌がらせに使えるくらいかな。


 俺は、『毒』のコマンドは使ったことがない。

 毒を与えるなんて、発想はあまりなかったのだ。

 『限界突破ステータス』だし、毒を使う必要は特になかったんだよね。


 ただ……俺の仲間たちが、悪魔などの強敵と戦わざるをえなくなったときに、この『毒』の攻撃によって、即死は無理でもジワジワとダメージを与えられたら、有利に勝負を進められるだろう。


 ゲームなんかでも、毒を与えるとターン毎にHPが減って、かなり有利に戦えるんだよね。


 仲間たちには、毒を使った戦い方も、念頭に入れておくように言っておいた方がいいかもしれない。

 せっかくの機能だからね。


 それにしてもナビーさんは……何に対してこの『毒』コマンドの効果を試したのだろうか?

 訊くのが怖かったので、訊いてないけど。


 『麻痺』のコマンドについても、解説があった。

 いつも対人戦の時に、相手を動けなくするために使っているが、部分的に麻痺させることもできるとのことだった。

 取り押さえて、すぐに尋問したい時などは、手と足だけを麻痺させれば、話を聞き出すということができるわけだ。


 『魅了』については、目から鱗の考察だった。


 ナビーは、自分の検証とともに文献も当たったらしく、『魅了』について詳細に解説してくれた。


 それによれば、『魅了』状態には二段階ある。


 最初の段階は、いわゆる『魅了状態』で、術者に魅了され、ぼーっとしている状態だ。


 次の段階は、『魅了による隷属状態』で、術者に魅了され、術者の指示に従う状態なのだ。


 『通常スキル』の『魅了』と、それと同じものである『通常スキル』の『状態異常付与』の技コマンドの『魅了』は、通常は第一段階の『魅了状態』の効果しかない場合が、ほとんどとのことだ。

 だが、スキルレベルが8以上になると第二段階目の『魅了による隷属状態』の効果も発揮できるのだそうだ。


 その他、特殊な魔法道具やレアスキルや『固有スキル』系、『種族固有スキル』系の『魅了』は、第二段階目まで兼ね備えている場合が多いようだ。


 兎亜人のミルキーが手に入れた『バニーガールアーマー』の魅了攻撃や、俺が手に入れた勇者武具シリーズの『魔具 ラブオーナメント』の『愛の誘惑』コマンドは、これに該当し第二段階目の『魅了による隷属状態』の効果があるということになる。

 ナルシスト貴族のシャインの『固有スキル』の『最高な自分』の技コマンド『シャインスパーク』による魅了も、第二段階目の『魅了による隷属状態』の効果が出せるのだろう。


 ナビーは、第一段階の『魅了状態』を『通常魅了』と呼び、第二段階の『魅了による隷属状態』を『隷属魅了』と呼んで区別していた。


 『状態異常付与』スキルは、スキルレベルが10なので、『隷属魅了』までできるわけである。


 今まで使いこなせていなかっただけで、本当は魅了した相手をぼーっとさせておくだけじゃなくて、命令して動かすことができたわけだ。


 相変わらず、機能を全然使いきれていない……トホホ。

 まぁそもそも『魅了』を使った事はないと思うんだけどね。


 改めて考えると……『状態異常付与』スキルの『魅了』を使っても、『強制ギアス』と同じようなことができる気がする。

 魅了された相手は、隷属状態だから操れちゃうよね。

 もちろん細かな指示は難しいだろうけど。


 この点についてのナビーの見解は……似たような機能を果たすことはできるが、強力さが違うとのことだった。


 『魅了』の場合は、攻撃を受けて大怪我をするなど、何か大きなショックがあれば、解除され元に戻る。


 だが『強制ギアス』の場合は、大きな衝撃があったからといって解除されないだろうとのことだ。

 解除できるようなスキルや魔法道具がない限り、死ぬような大怪我を負っても解けないだろうとナビーは予測していた。


 そして指示できる内容も、『強制ギアス』の方がより細かくできるはずだとのことだ。


 確かに言われてみれば、そうかもしれない。

 技の強力さが違うわけだよね。

 『魅了』の上位互換的なスキルなのかもしれない。


 もう一つ明示されている技コマンドである『混乱』についても、報告があった。

 俺は一度も使ったことがないが、ナビーは実験したようだ。


 文字通り相手を混乱させるらしい。

 パニックみたいな感じになるのだろうか……?


 混乱状態に陥って、冷静な判断ができなくなるらしい。


 これについても威力が調整できるらしく、軽い混乱から、何もできなくなる、もしくは泣き叫ぶような混乱状態まで調整可能のようだ。

 この『混乱』状態になっていると、まともなコミュニケーションが取れなくなるそうだ。


 てか……ナビーさん、ほんとに誰に対して実験したのよ?


 やっぱり、衛兵に突き出すようなゴロツキにやったんだろうなぁ……深く考えるのはやめよう。


 ふと思ったが……通常生物が『魔素』を大量に浴びて魔物化すると、冷静な判断能力を失った状態になるので、『テイム』ができないし、コミニケーションをとることはできない。

 暴走状態になっていなくても、魔物でいるというだけその生物は冷静な状態ではなく、本能に従った行動のみ行っているというわけだ。


 この魔物化状態は、もしかしたら『混乱』状態の一種なのかもしれない。

 なんとなく、そんな気がした。


 もちろん、ただの『混乱』状態ではなく、『特殊な混乱状態』だろうけど。


 『混乱』状態を含めた通常の状態異常を治せる『状態コンディション最適化グリーン』スキルを使ったとしても、魔物化による混乱状態は治せないだろうけどね。


 魔物を浄化するのは、かなり特別なことのようだからね。

 前に聞いた……伝説の『精霊波』とかでないと、できないレベルらしい。


 『操蛇の矢』や『操魚の矢』を使ってできているのは、『蛇使い』や『魚使い』という特別なスキルを持った人の血を使っているからなのだ。

 そもそもが特別なことなんだよね。



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