1062.ナビーさんの報告からの、……ディスり。
俺は、『特殊状態異常』に関する情報を、全ての『絆』メンバーに発信し、警戒するように伝えた。
そして何か情報があれば、すぐに報告するようにと伝えた。
情報を集める窓口は、『アラクネーロード』のケニーにお願いした。
いつものように丸投げだけどね。
ケニーは相変わらず、クールを装いながら嬉しそうな雰囲気を出していた。
きっと高速で人差し指や、触脚をツンツンさせているに違いない。
相変わらず可愛い奴め。
『アメイジングシルキー』のサーヤには、『絆』メンバーになっていない国王陛下やユーフェミア公爵に『特殊状態異常』についての情報を伝えてくれるように指示をした。
そして、陛下たちが何か情報を持っていたら、教えてほしいと依頼してもらうことにした。
ちなみに……ビャクライン公爵家長女で先天的覚醒転生者の見た目は四歳児中身は三十五歳のハナシルリちゃんは、俺の『絆』通信を聞いて、速攻『念話』を入れてきた。
(私も調べておくから任せて! 『
そんなことを言ってきたのだ。
完全に変なスイッチが入っていた。
まぁわからなくはないけどさ。
その発想は、きっと有名なロボットアニメから来ているのだろう。
確かに、『
それから……完全な中二病患者である陸ダコの霊獣『スピリット・グラウンドオクトパス』のオクティからは……(我が魔眼の封印が解ける日は近い!)というわけのわからない念話が入った。
意味不明なことを一方的に言って念話を切るのは、本当にやめて欲しい。
そもそも、ただの中二病心で眼帯してるだけでしょうよ!
何も封印されてないと思うんですけど。
でも……『封印』は『状態』欄に表示されないから、本当に封印されてたりして……。
いやいや、ないな、ないない、あるわけがない!
俺の『自問自答』スキル『ナビゲーター』コマンドのナビーからも、報告があった。
報告といっても……ナビーが今までに検証および分析した『状態異常付与』スキルについてのことだった。
そして、使いこなせていない俺に対するお叱りだった……トホホ。
久しぶりにディスられたのだ。
ナビーの報告は、さすがの内容だった。
俺はディスられたにもかかわらず、思わずまたイメージの中で抱きしめてしまい、「それはセクハラです!」と速攻セクハラ認定されてしまった。
そして、「今回も私にディスられた腹いせで、わざとやっていますね」と追及され……こんこんとお説教されてしまったのだ……トホホ。
ナビーって……俺の分身で……俺自身のはずなんですけど……。
そのうち……『断罪』とかいうスキルが発現したりしないよね?
それはさておき、ナビーが今までの独立活動の中で検証してくれた『状態異常付与』スキルについての報告は鋭いものだった。
ナビーさんは、よく各市町でチンピラたちを一掃しているわけだが、その時に『状態異常付与』スキルもよく使っているんだよね。
衛兵に突き出すような重犯罪者や悪意の強い者に対しては、『状態異常付与』スキルで無力化しているのだ。
ナビーがあげてくれた報告の結論から言えば……俺たちが普段何気なく使っている『状態異常付与』スキルは、チート級のすごいスキルだということだ。
そして俺は、全然使いこなせていなかったということなのだ。
『状態異常付与』スキルが、かなり使える便利なスキルであることはわかっていた。
このスキルがあるおかげで、『眠り』や『麻痺』を与えられるから、対人戦で簡単に無力化できる。
綺麗事を言うつもりはないが、このスキルのおかげで、無闇に人を殺さずに済んでいるし、血を見ずに済んでいるのだ。
ある意味、一番使っているスキルかもしれない。
『状態異常付与』スキルは、『特殊ステータス』画面のスキルの説明表示では、『毒、麻痺、催眠、魅了、混乱等を与えることができる』と表示される。
この中から任意の効果を選んで、相手に付与することができるのだ。
このそれぞれの効果が、いわば技コマンドと言っていいものである。
今まではあまり疑問に思わなかったが、この表示には『等』というのがあるんだよね。
ナビーの最初の着眼点は、ここだった。
今のところ選べるのは、明示されている毒、麻痺、催眠、魅了、混乱だけなのだが、ナビーの見解では今後増える可能性があるのではないかと言うのだ。
普通に考えれば、すでにスキルレベルが10なので、増えることは考えにくい。
だが、『固有スキル』や『種族固有スキル』の技コマンドの例を考えれば、スキルレベルと関係なく使える技コマンドが増えることはある。
そう考えると、増える可能性はあると言うのだ。
確かにそうかもしれない。
もしかして、『特殊状態異常』なんかも使えるようになったりして?
俺は、ちょっとハイになってしまった。
そしてナビーの分析によれば、既に明示されていない機能を使っている可能性があると言うのだ。
それは何かというと……『眠り』の付与なのだ。
明示されている『催眠』によって、『眠り』を付与していると思っていたのだが……そもそも『催眠』と『眠り』は違うものらしい。
『催眠』とは……催眠術よろしく、暗示受けやすい状態に導くことなのだそうだ。
普段『状態異常付与』で『眠り』を付与するときは、頭の中で『眠り』付与と念じて、技を発動しているわけだが、この技の発動原理は、ナビーの見解によれば二つの可能性があるらしい。
一つは、明示はされていないが強いイメージによって『眠り』を付与することができているという可能性、もう一つは、明示されている『催眠』が発動していて『眠れ』という暗示をかけている可能性もあるというのだ。
俺の感覚としては……『催眠』を無意識に指定して、相手に眠れと暗示をかけているというよりは、『等』に入っている機能として……独立したものとして、『眠り』を付与しているのではないかと思う。
あくまで感覚的なものだけどね。
そして実際のところは、わからない。
まぁはっきり言って、理屈はどうでもいいんだよね。
現実に使えているわけで、それで充分なんだよね。
ただ、ナビーのお陰で一つ分かった事は、『催眠』を使えば、催眠術をかけるみたいに、対象に暗示をかけることができるということだ。
吸血鬼たちが使うような『暗示』が、かけれてしまうらしい。
おそらく……『催眠』は、『特殊状態異常』に入るとされている『暗示』の下位互換なのではないだろうか。
使い方を極めれば、催眠療法みたいに失われた記憶を取り戻すとか……そういう方向にも使えるのかもしれない。
この『催眠』だけとってみても、可能性は広がるんだよね。
ふと思ったが……敵を捕らえて尋問するときに、この『催眠』を使ってトランス状態にして、情報を引き出すというのもありかもしれない。
俺はいつも……足の小指を踏んづけるとか、往復ビンタをするとか、デコピンをするとか、手の甲をつねるとか、髪の毛を引っ張るとか、すね毛を抜くとか、鼻の穴を野草の茎で刺激して連続でくしゃみさせ続けるとか……そんな優しい有形力の行使をして情報を引き出していたが、『催眠』を使った方がいいかもしれない。
てか、やばい……思わず、いつも濁していた有形力の行使の種類を白状してしまった……トホホ。
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