666.勇者と大勇者の、職業固有スキル。
二つ目の『職業固有スキル』は、『
これは、『勇者』という職業を得た際に身に付く『職業固有スキル』らしい。
俺の『職業』は『大勇者』であって『勇者』の表示は無いのだが、『勇者』を内包してるということなのか、この『職業固有スキル』が身に付いている。
文字通り無限に収納できるスキルらしいので、俺の『波動収納』とほぼ同じというか……完全に被ってる感じだ。
収納する原理は違うかもしれないけど、機能は同じだろう。
やはりこのスキルでも、魂のあるものは収納できないとなっている。
俺にとっては、基本的に意味のないスキルだろう。
『波動収納』で十分だからね。
完全な被りスキルだ。
まぁしょうがないが、少し残念だ。
気分的には……ガチャで激レアが出たのに、被っていた的なしょんぼり感がある。
三つ目の『職業固有スキル』は、『勇気』だ。
これも『勇者』としての『職業固有スキル』らしい。
怖さを知りながら、立ち向かうことができるスキルと説明されている。
技コマンドに『
『
そしてスキルレベルが上がると、戦闘経験がある魔物などの弱点分析ができるようになるらしい。
普通は、地道に戦闘を重ねることで体感で理解していく敵の情報……物理に強いとか、魔法に弱いとか、火に弱いとか、そういうことが早い段階で分かるということなのだろう。
そうだとすれば、かなり便利な技コマンドだ。
『
『基本ステータス』の『身体力(HP)』『スタミナ力』『気力』『魔力(MP)』と、『サブステータス』の『攻撃力』『防御力』『魔法攻撃力』『魔法防御力』『知力』『器用』『速度』の全ての数値を高めることができるのだ。
上昇率は、スキルレベルによるらしい。
『ビャッコの巫女』となった見かけは四歳児、中身は三十五歳のハナシルリちゃんが取得した『強化術』と同じような能力みたいだが、一度に自分とパーティーメンバー全員に効果を及ぼせるという意味では、こっちの方がすごいかもしれない。
『強化術』も人にかけることができるから、パーティーメンバー全員を同じ状態にすることができると思うが、一度にやることはできないはずだ。
一気に二、三人に技をかけることはできるかもしれないが、少なくとも自分に対して一回と他の人に対して一回はやらないといけないと思うんだよね。
この技コマンド二つは、それなりに使い道があると思う。
四つ目の『職業固有スキル』は、『勇者育成』というスキルだった。
これは『大勇者』としての『職業固有スキル』のようだ。
自分が育てたり助言をした者が、ある特殊な条件を満たすと『勇者』という『称号』を取得するという能力らしい。
弟子をとって勇者を育てる的なことなんだろうか……?
ただあくまで『称号』に『勇者』と付くということで、『職業』としての『勇者』を取得するわけではないらしい。
『勇者』の称号を得た者が、悪魔を倒したり、強い魔物を倒したり、多くの人に感謝されたりすると『職業』欄に『勇者』と表示されるようになると説明してくれてある。
この状態が、『真の勇者』の状態ということのようだ。
この『職業』欄に『勇者』と表示される『真の勇者』状態になって初めて、『勇者』としての『職業固有スキル』が発現するようだ。
自分の手で『勇者』を育てるなんて……『大勇者』という職業にふさわしいスキルだと思い、ちょっと感動したが……今のところあまり意味がないかもしれない。
詳細説明には、“ある特殊な条件を満たすと『勇者』という『称号』を取得する”とあるが、その“特殊な条件”が明示されてないのだ。
“特殊な条件”に焦点を当てて、詳細表示と念じても何も表示されない。
どうすれば『職業』としての『勇者』を取得できるかということについては詳しく説明してくれているのに、『勇者』の『称号』を得るために重要な“特殊な条件”については、全く説明してくれないというこの不合理感……。
いつものことながら、この詳細説明のシステムもよくわからない。
これじゃ育てようがないよね!
何の条件を満たせばいいのかわからないんだから!
事実上……積極的には使えないスキルということが判明した。
とりあえず有望な人を育てたり、アドバイスしてあげて、運が良ければ『称号』が取得できるみたいな感じになっちゃうよね……まぁいいけどさ。
なんとなく気になったので、被りスキルではあるが『
庭に転がっている石を、収納してみる。
……………………。
……………………。
……………………。
いくつかやってわかったことは、この『
『アイテムボックス』スキルの容量制限を外したようなスキルだと思う。
『アイテムボックス』同様、直接触れないと回収できないみたいだ。
『アイテムボックス』スキルは、スキルレベルが10の状態では、ある程度の距離のものは触れなくても回収できるようになっているが、スキルレベルが低いうちは触れないと回収できないのだ。
そういう意味では、目視で回収できる『波動収納』の『目視回収』コマンドの方が優れている。
また『波動収納』の他のコマンド……『戦利品自動回収』や『登録品回収』といったコマンドのようなものは、『
ちなみに『戦利品自動回収』は、大規模な戦闘が終わった後にそのコマンドを使うと、戦利品と認定されたものが、自動で一気に回収できるという優れものだ。
『登録品回収』は、あまり使ったことがないが、すでに『波動収納』にあるものを登録して、それと同じ物を自動で回収できるというものだ。
ただ実際に、どの範囲まで回収できるのかは、わからない。
おそらく、距離的な制限はあると思うんだよね。
全世界から回収できちゃうみたいなことは、ないと思うんだけど。
あまり興味をそそられていないので、試してなかったのだ。
やはり『波動収納』の方が便利なので、この『
ただ俺じゃなければ、かなり使えるスキルだよね。
なんといっても、無限に収納できるわけだから。
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