665.救国の英雄の、職業固有スキル。
俺は、『職業』として『救国の英雄』と『大勇者』を得てしまった。
それによって『特殊ステータス』に新たな項目として、『職業固有スキル』という括りが発生している。
そして、この『職業固有スキル』には、四つのスキルが発現している。
まずは『集いし力』というスキルだ。
これは『救国の英雄』としてのスキルらしい。
転移もしくは召喚系のスキルのようだ。
念話を繋いだ相手を、自分の下に転移させることができるらしい。
召喚すると言っても良いのではないだろうか。
念話が繋がる相手は召喚できるので、俺の『絆』メンバーは、全員俺の下に転移させることが可能になりそうだ。
本来は、このスキルの登録欄に登録をすることで、念話が繋がるようになるらしい。
そして、その相手を呼び出すことができるということのようだ。
事前に登録しておくのが原則だろう。
推測だが、念話をしてから転移させるということは、念話で相手を特定できればいいということだろう。
そうだとすれば、わざわざこのスキルに登録しなくても、俺の『絆』登録メンバーは転移させられる可能性が高い。
まぁ実際に試してみれば、はっきりするけどね。
そして……この登録という仕組みがあるお陰で、俺の『絆』メンバー以外の知り合いとも、念話を繋げることができるし、転移で呼び寄せることも可能になる。
事前に、このスキルの登録欄に登録をしておけば、いいのである。
しかも、登録には相手の意思確認が必要ではなく、勝手に登録しておけるらしい。
だから登録だけしておいて、なにかあったときだけ念話をかけて呼び寄せるということもできるようだ。
もちろん、いきなり念話が繋がった相手は驚くだろうけどね。
俺にとっては、めちゃめちゃありがたい機能だ。
このスキルの存在を明かすという前提にはなるが、『絆』メンバーになっていない知人と念話をすることが可能になる。
そして、転移で呼び寄せることもできる。
このスキルの存在を伏せて登録だけしておけば、表立って念話はできないが、本当にピンチの時に念話で情報をあげるとか、転移で救出するという保険的な使い方もできそうだ。
スキルレベルが上がると、特殊な召喚も可能と表示されているが、それ以上の詳細は表示されない。
またもや不完全なスキル説明である。
“特殊な召喚”というのが、めちゃめちゃ気になるが……今考えてもしょうがないので、やめておこう。
このスキルは、非常にありがたいスキルだが、よくよく考えてみると……俺にはあまり必要なかったかもしれない。
『絆』メンバーにはなっていないのに、このスキルに登録したいほど親密な人たちって……ユーフェミア公爵やアンナ辺境伯たちになるが、その人たちは転移の魔法道具を持っているので、その通信機能でいつでも連絡が取れる。
そして、俺のもとに来るわけではないが、転移をすることもできる。
そう考えると、実際はあまり使い道は無いかもしれない。
『絆』メンバーでもなく、転移の魔法道具も貸し出していないという括りでいくと……一部の『フェアリー商会』の幹部とか、ヘルシング伯爵領『サングの街』の『闇影の義人団』のスカイさんとかかな……。
そういうメンバーは、登録しておいてもいいかもしれない。
あと……例えばだが、ビャクライン公爵などもいいかもしれない。
『絆』メンバーではないし、転移の魔法道具も常に持っているわけではないだろう。
あくまで貸し出したのは、ビャクライン家に対してであって、実際はどう考えてもアナレオナ夫人が管理すると思うんだよね。
だからビャクライン公爵をこのスキルに登録しておいて、必要な時に念話を繋げて呼び出せるようにしておいたらいいかもしれない。
助っ人としてバトルに参加してもらうとか……そんなことができるかもしれない。
まぁ領主を念話一本で呼び出しするというのは、普通ではありえないことだけど……バトルジャンキーだから意外と喜んできちゃうかもしれないよね。
あゝ……ダメだ……。
今、俺のイメージの中で、ボールを投げて欲しくて、尻尾を猛烈に振ってワクワクしている犬のような状態のビャクライン公爵が思い浮かんでしまった……。
脳内イメージでは……完全に犬耳と犬尻尾が生えて、口を開けてワクワクしてるビャクライン公爵がいる……。
まずい……ほんとに最近……遊んで欲しそうな犬としか認識できなくなってきている……。
俺はそんな脳内イメージを必死で振り払い……思考を戻す……
よく考えたら、人々を守るために戦いに参加してもらうとか……そういう使い方がまさに本来の『集いし力』だから、いいよね。
決して公爵をパシリ的に使うわけではないのだ……。
どちらかというと……遊んであげる感じだから……いいよね!
ただそれをやると、一つリスクはあるんだよね。
念話は一度相手に繋げて、会話できることを相手が認識すると、相手も念話が使えるようになり、交互に連絡できるようになるのだ。
もし、ビャクライン公爵からマメに連絡が来たら……面倒くさそうだ……。
やっぱり登録するのは、やめておこうかな……。
まぁ彼が本気で、俺にマメに連絡しようと思ったら、転移の魔法道具の通信機能でできちゃうけどね。
そう考えれば、一緒かもしれないけど。
いや……違うな!
転移の魔法道具の通信機能なら、アナレオナ夫人が止めてくれるけど、念話ならビャクライン公爵の自由だ。
誰も止めてくれない。
今でさえ殺気を飛ばされたり、遊んで欲しい犬のような顔をされたり、面倒くさいのに、すぐに念話が繋がるとわかったら……殺気を放ちながら、直接念話で文句とか言われそうだ。
ダメだ……やっぱり彼を登録するのはやめておこう……あしからず、溺愛オヤジ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます