84.馬達の、願い。
大森林の中では、ほんの小さな家だが、記念すべき『我が家』一号ができた。
サーヤは、早速『管理物件』に登録してくれたらしく、今後いつでもこの家の玄関先に『
俺は主要メンバーを連れて、フラニーの転移で霊域に移った。
このままの勢いで、霊域にも家を建ててしまうことにした。
本来ならば、じっくり考えて家を作りたいところだが、『
大森林に作ったのと全く同じログハウスを作った。
もちろん作ってくれたのはレントンだが……。
そしてトイレはサーヤだ……。
場所は『大霊樹』からの少し離れた東側にした。
位置的には、ほぼ『大霊樹』と横並びだ。
この『ボルの森』の『大霊樹』前の広場は、これから拡張する。
『大霊樹』の南側に大きく拡張する予定なのだ。
『大霊樹』の入り口は、南を向いていてるので丁度良い。
後ろになる北側は、前回の戦闘で無傷、南側が大きく損傷したためにスペースが作れるのだ。
そして、元々この『大霊樹』の入り口からずっと南に下った三角湖に挟まれた先までは、平坦な開けたスペースにする予定だった。
その予定通り、すでに、幅広の大きな道とその両脇に薬草の畑ができていた。
わずか数日しか経っていないけど、霊域のあちこちにある薬草を移植し、森魔法で生育を早めたらしい。
もうすでに立派な薬草園になっていた。
『大霊樹』に近い方は、俺が自由に使える畑にしてくれるつもりで、かなり広範囲に開けてあったのだ。
フラニーの俺に対するナイスな心遣いには感謝しかない。
そのお陰で畑予定スペースの一部を使って、広場を大きく拡張できるのだ。
◇
『大霊樹』広場のログハウスも無事建て終わり、一息ついていると……
……俺のもとに動物たちが押し寄せてきた。
それは俺が盗賊たちから保護した馬たちだった。
この馬たちは、四カ所の盗賊のアジトを壊滅させた時に保護した者たちだが、合計で、百三十六体もいた。
内訳は……
『
『
『
『
『
『
サーヤが教えてくれた情報だ。
馬の種類に詳しいらしく、このような特徴を教えてくれたのだ。
また、今回保護した中にはいなかったが、他にも荷引動物として『
『
基本虫型であるがいろんな種類がいるようで、代表的なのは、『ランドキャタピラー』という名前の芋虫型の荷引動物らしい。
他にも『デンデン』という名前の
これ以外にも場所や地域によって、いろんな虫型の荷引動物がいるようだ。
まさにファンタジー世界……是非一度見てみたい。
またサーヤによれば……
足が速い順番は…… (走鳥) > (馬車馬 金馬 竜馬) > (軍馬) > (荷引馬) > (虫馬) ……となるらしい。
力がある順番は…… (竜馬) > (軍馬 金馬) > (虫馬) > (荷引馬) > (馬車馬) > (走鳥) ……となるらしい。
購入する時の価格の高い順が…… (金馬) > (竜馬) > (軍馬) > (走鳥) > (馬車馬) > (虫馬) > (荷引馬) ……となるらしい。
一番高い金馬で百二十万から百五十万ゴル、一番安い荷引馬で二十万ゴルくらいが相場らしい。
本来ならこの数だけで相当な財産らしい。
もちろん販売する気などないが。
この子たちは助け出して霊域で休養していたわけだが、大分元気になったようだ。
特別ひどい扱いを受けていた子は、まだ元気とまではいかないようだが……。
そして何故かこの子たち全員が俺の
もちろん『テイム』スキルは使っていないのだが……
リンの時と同じように、自主的に仲間になってくれたようだ。
したがって、念話で会話ができるようになっている。
そこで、この子たちに今後どうしたいかを聞いてみた。
もともと人間と一緒に暮らしていた者たちだし、もしかしたら人の街で暮らしたいとか、馬車を引きたいとか、あるかもしれないからだ。
だが俺のそんな心配は無用だったようで、全員がここで暮らしたいという意向だった。
そりゃそうだよね。
盗賊たちに虐げられていたんだから……
ただ、もし主である俺が望むならどこへでも行くし、馬車引きなどいくらでも使ってくれと申し出てくれた。
しかし、今のところその予定は無い……
気持ちだけ、ありがたく受け取った。
もしかして、将来大商隊でも組んで何十台もの馬車を動かす、みたいな時が来たら頼むかもしれないが、そんな予定は全くない。
この子たちには、ここでのんびり楽しく幸せに生きてほしい。
今まで辛い思いをしたのだから……。
そしてこの子たちの中から、できれば自分たちと同じような境遇の虐げられている動物を助けてほしいという話があった。
話を聞くと……
あの街道沿い一帯の不可侵領域には、まだ盗賊のアジトがいくつもあるらしい。
特に『走鳥』は、スライムの『種族通信』に似たような感覚の伝達ができる能力があるようで、苦しんでる仲間のテレパシーみたいなのが聞こえるのだそうだ。
確かに俺が潰したアジトは、マグネの街の関所に攻め込んでくるであろう近場の盗賊のものだけだった。
あの領域すべてには行ってないからね。
そういうことなら、助けに行くしかない。
動物虐待なんて絶対に許せないからね!
盗賊退治自体は人助けにもなるし、躊躇う理由は全くない。
ただ、『走鳥』の話では命の危険とか、緊急性は感じられないということだったので、こっちがもう少し落ち着いてから救出に向かうことにした。
こっちで諸々のことを片付けたら、マグネの街に一旦戻ろうと思っているので、その時に盗賊たちを全て倒して、引き連れていこうかとも考えている。
さすがに今回も『闇の掃除人』から預かったというのは使えないだろうが……
いざとなったら“妖精女神様”こと、ニアが全部やったことにして連れていっても、あの街では誰も驚かないだろう。
何せニアが『中級悪魔』を倒すところを、何人もの人が見ているのだから……。
ニアの女神様扱いや悪目立ちも、使いようによっては結構便利かもしれない……。
“妖精女神の技”ということで、大概のことは誤魔化せそうな気がしてきた……。
いずれにしろ、動物たちの救出と盗賊退治は、なるべく早めに行こうと思っている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます