第29話

「そういや、去年酷い事件のニュースがあったね。

犬に爆弾を背負わせて、犬ごと爆発させた事件。


過激な動物愛護団体が多くの人が集まるぺっとコンクールの会場に爆弾を背負わせた犬を連れて行ったの。


犬だけで会場に入る事は出来ないから、爆弾を背負った犬は、入り口の行列で、小さなケージに犬を入れた女性の前に行き、急に倒れて痙攣したふりをしたの。


女性は自分のケージを地面に置いた途端に、爆弾犬はさっと起き上がって、ケージを咥えて走り去り、そして茂みの裏に消えたの。


女性は大声を上げて追いかけたそうよ。

周りの人達や入場整理をしていた職員も一斉に茂みの裏に走って行ったの。


そこには、女性の犬がケージに入ってそのままいたので、無事に保護されたんだけど、

入場整理をしていた係員が離れた隙に、爆弾犬は会場にまんまと入り込んだの。


会場内では、犬たちも飼い主も綺麗に着飾っていたそうよ。そして多くの子供たちもその会場にはいたそうなの。


そこに綺麗に着飾った爆弾を背負った犬が入ってきて、子供たちがたくさん集まってきたところで、強烈な閃光と爆音がして、まわい一面を吹き飛ばしたそうよ。


人の肉も犬も肉も、あらゆるところに血と肉片が飛び散って、人か犬か混ざってわからなかったそうよ。


そして、その事件を計画した動物愛護団体が犯行声明で・・・」


カイトが突然ゴフの言葉を遮った。

「ダメだよ!そんなの、ひどすぎるよ!なんで、そんな事するんだよ。やめてあげてよ!」


カイトは必死にゴフに詰め寄った。

「ちょ、ちょっと落ち着いて。別に私がやってるわけじゃないんだから。落ち着いてよ。」

「ご・ごめん。話を聞いてて怖くなって、ビックリしちゃったんだ。

でも、怖いよ。僕たちにも命や心があるのに、そんな使い捨てをされるなんてやっぱり許せないよ。

でも、ドトウがやられた最期っ屁って、イタチ本人が気絶するって、最初っから使い捨てにするつもりの特殊能力だったんだ。」カイトは納得した。


でも、本当に心を奪われると、嫌なことでも平気でできるようになるんだろうか?

カイトは、今ひとつ納得できなかった。

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