【絶対遵守GM用】第1節のエンドとして
焼け残ったとある研究者のノート
いつかこの実験に意味があると信じて今、私の置かれたことを記す。
人類の夢であり人種との進化が問われる現代にはいつか必ず純人種は消えてしまう。
軌道エレベーター「エ・テメン・アン・キ」は来るべきエネルギー枯渇問題と純人種救うべきを大きく改善するものだった。そうなるはずであった。
実際、ヘルメスの心臓の構造は理解できていた。制御も成しえていた。
地熱から電気に変換するうえで、必須のパーツだったのだ。
だが、一つ、制御を可能とするのはレネゲイドウィルスに感染させられたものだけということ。
それ以外は完璧な代物であった。
しかしながら、そのせいで本研究は本来有った筈の純人類種救済から大きく外れてしまうこととなった。
このヘルメスの心臓は二つの側面を持つようになってしまった。
1つは、エネルギー問題の解決策足り得るエネルギー変換機構の役目
1つは、レネゲイドウィルスに感染したものを発見できる探知機としての役目
私たち純人類は恐怖した。この研究は我々純人類にとってパンドラの箱であった。
純人類を選別する機械であり、絶滅させる機械である。
エネルギー変換をこの物体に握られれば我々この物体なしでは生きていられなく
なる。
純人類たる我々に残された道は二つに絞られた。
諦めるか、抗うか。
初期の研究員達は考え1つの結論を生み出した。UGN、HF、国、財閥全てに
このヘルメスの心臓を模倣した物体を売りに出し簡易的な感染者の判定機として売
り、依存させようとした。
しかしながら、メインのヘルメス心臓は我々が持ち続けようと。
そして、このころに研究は一つの結果が生まれた。
それはレネゲイドビーイングの存在とその模倣。
計画は並列して、人工的なレネゲイドビーイングを作成し人間社会に紛れ込ませることでレネゲイドウィルスに対する世界の認識を変えてしまおうという意見が見られるようになったのだ。
レネゲイドウィルスの印象を最悪にし、悪という印象を植え付けさせながらも、
レネゲイドビーイングとの共存という表面的な体裁を整えて行うことによって宇宙探索や来るはずであろう特異点の発生を抑制する道具としようとした。
結果はうまくいったヘルメスの心臓より産まれた生物は取り込んだ細胞を模倣しその姿となれる力を持っていた。
計画がうまくいくという保証をその時は得た気持だった。
模倣したものには知能も技能もそのまま引き継がれているのも見受けられた。
戦慄が我々を襲った。
これならば、我々は死ぬことがないことを悟ったのだ。
純人類の救済計画はここから大きく狂っていった。
テセウスの船、スワンプマン。そんな思考実験の名前が頭をよぎった。
よぎった問題点を考える時間など我々にはなかった。力もなく金もない
我々を支えているのは崇高な目的だけであった。目的に魅了され、
依存し傾倒していたのだ。振り返るに我々は狂っていたのだ。
異常性を本能で理解はしていた。
そのおかげで我々はその肉体の複製を行わずにいられた。
その時が来るまでは複製は行わず薄氷の上に立つペンギンとなった。
心の底では行われないことを願っていたのだろうか。今の私には理解できずにいる
しかし、この世に神や仏などは存在していなかった。
我々の仲間のうちの一人がこの研究所をくる途中で交通事故にあった。
彼岸花と竜胆が咲き並ぶ堤防沿いを歩いているところだった。
そこで何らかの病気で気を失った運転手の乗った軽自動車によって轢き殺されたら
しい。即死だったと聞いて我々は歓喜に咽び泣いた。我々は地獄に落ちる定め
だったのだと。
薄氷の上に群がっていた仲間のペンギンの内、1匹が南極海のような薄暗く冷たい
海底へと潜っていた。
ならば私も仲間と共に海底へと潜ろうと仲間の複製体を作成した。
実験は成功だった。彼は何事もなく家族に会い娘のコンクールへと向かい涙を流
していった。
我々はそれを笑って話す彼の口から聞いて、同じように笑っていた。
もはや、私は純人類でもオーヴァードでもなく一人の化け物だった。
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