転の洛縁 血の天錠


もがいても抜けられない

真っ白な古布に包まれて

もうどうすることもままならず


動かない肉塊に情はない


寿命だった。

軽々しく病んだ、

あゝ 幾度も懐いても蠱毒


愛は大破して消える。

 

息が吸えない 深潭に沈む

焼き付いて肺は凍え霧散した


ばらばらざんばらにしんだ

なにもないからないだ

ないていてもいない


ここには新たな今しかない

過去は何処か行方知れずに


燃え滓どころか纏わり嘔吐く

力は解け手放した刹那の重さに

永久に刺さる薔薇の棘

彼方は吸うて暮れて褥崩れ侭

結ぶ 解けない哀で空に締めよう


空匣の深潭 奏多に棄て

眼球を抉り深紅に曳く

朽縄の瞼は永劫に封じる


あゝ 朱の明星は綺麗でね

あぁ 苦しくて仕方が無いけど


お終いだからこの瞳に焼き付けて

終迄持って逝きたいのです


雪は降り 涙は枯れ

積んでは解け 堕ち腐った

散り摘ままれた愛は幾度も


はてがなく

いったでしょう

ふたりで


弄らしくも心も躯もゆめうつつ


繋いだ灯糸は未だ明暗

昇り募る天に架かる春の螺旋

終の遂も夜明けは永劫に無い

二匹の蛇は赤らみて絡みあう螺旋の理


天の楽縁 血の天錠


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