【まどろみ】

それはどう見ても腐臭を放ち

語られることのない世を魅せる

面も解らない 性別すら危ういが

生前か、死後か

その手はしっかりと組まれていて


願いは叶ったのだろうか

祈りは届いたのだろうか


見つけてしまった私が弔ってあげれば


暗く儚く覆い尽くされ何年も闇に染まる

蒼空に導かれるだろうか


窓に燻っている 煙 強く叩く 大粒の 雹


心は震えたのかな 寒いだろうに

気色は 仄かな希望すら消してしまう


夏の香り通り過ぎた 雨


暗がりに沈んだキミに

ひかりもやみも透過してゆく


うみにかえろうね


蝉が泣いている

ほんの少しの命だった。


いきていた

夏の夕立 向日葵は大輪に咲いて


つたない指先で転がした

硝子玉に、

   かつり

  ボクは映らない


ただ、手探りで世界を広げていく

華のような香りが頬をかすめて。

くすくす

あゝ知っていた

簡単に懐かれる感じ

イロのオト

なめらかな調 奏でる海月


屹度そうなのかもしれないね

微笑んだ気がしたから


おやすみ ねむりひめ


逃れられない歯車は

錆び付いて腐っていく

否応無く 土に還すもの


けれど

キミがなくならないよう

小瓶に詰めた


灰時計


ボクはこの手で転がし続ける

キミの生命の手玉をとりたい


いくにちもいくにちも

ときとめることなく


共に刻まれる 硝子に欠片を


祈りと願いを

叶えてください どうか

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