它翅

懺悔

うみで吊ったさかなを裁く

活きが欲 浴騙るので未だ非常に生臭い

満足するまで浴槽で泳がせた

何方が喰われたかは問題ではない

最期の晩餐を食い残らぬように

私が加減を違えたのだ

美味しく頂いたようでご満悦

あゝ 鮮血のワインに酔い混んで

目玉ひん剥いて泡を噴きました

ひとしきり潮に塗れた処から

刃物ぶっ刺して

其れでもィっﾃ仕舞うようで

チは零れるし溢れてしまいます

未練でしょうか

もう遅いでしょうね

ふたりの穢れも堕ちましたので

ゆっくり おやすみなさい

では眠ったところでゐ唯抱きまして

少しずつ壊して往きたいと思います

私はあなたを永久に仕舞う

もう起きないとは思いますが

念の為 頭を落します

切り身にして少しずつ大事に

好みにいだいて挙げましょう

総ていただいて一緒に成りたいのですが

どうあっても残ってしまうでしょう

出汁を採って知るを呑んでも

あなたと幸せにはなれない

誰が私を処理して昏れる

妬いてしまった私が悪いのか

焚いて仕舞えばよかったんだ

すべて敗にして肺を焼く

遺るのはあなたとわたしの灰

肺をやいて息を吐いても

誰にも聴こえない

聲はもう

いない。