25話
バンシーさんが去ると、騒がしかったように感じた保健室にまた静寂が訪れる。
ただ、騒がしさが来る前と比べて違うことは、アレン君の機嫌が悪い事だろう。
「あ、アレン君?怒ってますか?」
さっきのバンシーさんの発言で、拗ねてることは確かだろうけど、今のアレンくんは拗ねる以上に怒ってる感じがする。
ご飯を食べ終わって、アレン君はずっと私の方に体重をかけている。
「ねぇリアン…リアンは誰の婚約者?」
「え?アレン君ですわ?」
「そうだよね…じゃあ、もっと僕に構ってよ……」
…え、可愛い……
え、アレンくんってどうしてこんな可愛いの?なんなの天使なの?
ギューッとアレンくんは私に抱きつく。
しばらくされるがままにされていると、また保健室の扉が開いた。
アレン君を1回離し、扉の方を見ると、ラルドリアちゃんと、アルフレッド王子がいた。
「リリアン様いますか?」
「どうかされましたか?」
「あ!あの、リリアン様にお聞きしたいことがありまして…」
「あら、そうでしたの。
アレン君、少し離してくださいまし。」
「やだ。」
ギューッと抱きついたまま離れないアレン君。それを見てラルドリアちゃんも、そのままで結構です!と声を上げた。
「それで、ラルドリア様?お聞きしたいこととは?」
さすがにラルドリアちゃんと呼ぶのは公爵令嬢としての私には出来ないので、ちゃん付けで呼ぶのは心の中だけだ。
「そうでした、あの、リリアン様は今週末にある新入生パーティー、もうパートナーは決めてますか?」
ラルドリアちゃんは、まるで恐る恐る、といったふうに聞いてくる。
そういえばそんなものもあったな…
確かゲームでは、助けて貰ってから仲良くなったアルフレッド王子と、パートナーになるんだっけ?
それが終わると、やっと攻略対象分岐点に行く。パーティーなんて攻略対象とすごく絶好の機会なのに…なんて考えた記憶がある。
「パートナーですか?はい。私はアレン君とパートナーになろうかと考えてますわ」
「やっぱり君は決まってたか…やっぱり、ラルドリア嬢に頼んでもいいかい?」
「はい!わ、私でよければ!!」
んん?これは一体どういうこと?
わけも分からず混乱する私たちをそっちのけて、2人だけの世界に入るラルドリアちゃんとアルフレッド王子。
アレン君に至っては、未だに抱きついたまま我関せずだ。たまにぎゅっと抱きつく力が強まるから、その度にアレン君の頭を撫でている。
「あの、アルフレッド王子?ラルドリア様?一体さっきの質問になんの意味が?私にもわかるように説明してくださいませ。」
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