第32話 スメハラ

 美人なんだけど…体臭が凄い…

 独特の匂いが部屋に籠る。

 ラブホとは換気が悪い、清掃直後に入室してしまうと、清掃員の体臭とか結構残っている。

 デリヘルとか呼ぶときに、

「この匂いは僕じゃないんだ」

 と消臭剤を巻き散らかす羽目になることしばしば…


 今回は、いわば逆である。

 呼んだ嬢の体臭がキツイのだ。

(本人は気づかないというが…ホントか?)

 疑いたくなるレベルの体臭。

 脱ぐとさらに凄い…


「ちょっと…風呂に入らない?」

 さりげなくシャワーだけじゃなくて、浴槽へ誘導する。

 向かい合って、彼女の秘部へ指を挿れて、なんとか洗おうと努力する。


 脇が臭いとかは、まぁ我慢できる。

 性器が臭うのは…致命傷なのだ。


 無駄だった…

 部屋はいい…所詮、僕の部屋じゃないから…


 車内に立ち込める、彼女の臭い…

 服に滲みこんだような体臭。

 そしてハンドルを握る僕の指から立ち込める、秘部の臭い。

 シーフードがロットン腐るしちゃった臭い…


 美人なのに…

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