第5話美し過ぎる女性

松原千恵子が入社して来た。美しい美しい大輪のバラのような顔に、男どもは虜になった。一人犠牲者が出た。古川研一。おとなしい控えめな男であった。ミツバチが美しい花にからめとられた。


妻と子供2人が居た。研一は人生の絶頂期に我を忘れてのめり込んだ。まわりの眼がわからなくなった「ちえが」・「ちえが」と口走った。二人だけでよく会議室に居た。


周囲はそんな研一を憐れに思っていた。


ここで、お局様の登場です。


「古川さん、松原さんと何か有るの」

「い・いえ。な・なにも」

「この前、誰かが会議室のドアを開けたら、二人がキスをしていたと言う話があるのですけれど」


「そ・そんな事は決して有りません」


「松原さん、古川さんとなにか有るの」

「付き合っています」

「本気なの」

「いえ、遊びです」


「ほどほどにしてあげなさいよ、この頃古川さんおどおどして、眼は血走って、廊下を歩くのも千鳥足よ」

「わかりました。傷付けないように優しくお別れをします」


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