オフィス・ラブ

尾形昭

第1話ゴールドのアームバンド

「ねえ、松尾さん、男と女が焼き肉を食べるって、関係を持ったと言うことなんだって」

「それは、知らなかった。僕はそんな不埒な気持ちは無くて、ただ家中さんと焼き肉を食べようと思って、誘っただけなんだ」

「分かってます。でも一応考えてみますから、2~3日待ってもらえますか」

「ああ、いいよ。別に嫌だったら断っていいよ」


 3日後、家中久子が松尾進一のところへやって来た。

「やっぱり、松尾さんに連れてってもらいます」

「いつにしようか」

「いつでもいいです」

「今度の金曜日にしようか」

「ええ、それでいいです」


 焼肉屋で

「あたし、進一が好き。大好き」

「悪酔いしているな」

「酒癖が悪いな」

「もう帰ろう」


「あたし、もう、歩けない。ここで休憩しましょう」

「本当に、休憩だけだぞ」

 二人は、結ばれた。


「ねえ、今日の記念に、ドン・キホーテで何か買いましょう」

「あっ、このゴールドのアームバンドがいい。二つを一つづつに分けましょう」

 二人は、一組のアームバンドを一つづつ持った。



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