愛を禁じられた国での性行為の薦め

坂無さかな

第1話

-昔酷く醜い王様がおられた

誰からも愛されなかった王様はある日「この国では愛することを禁ずる」と仰ったのです

それ以来この国では何かを愛すると牢屋に閉じ込められるようになりました-


だからこの街で生きていくのなら気をつけろ。

くだびれた爺さんが僕にそう告げ脚を引き摺りヨボヨボと、しかし足早に去って行った。

窮屈な暮らしにも慣れた頃、犬を散歩させていると背後から「おい、おい」と聞こえた。おいおい教かと思ったがどうやら警官らしい。

話を聞くところによるとこの街では犬を飼うことは犬を愛していると捉えられ罰せられるんだとか。そう吠える警官の目の前で犬を踏み殺して見せた。黙った。犬を飼っていても愛していなければ許されるらしい。

それからの僕の生活は犬を拾う、警察に咎められる、踏み殺す、拾う、咎められる、踏み殺す、拾う、咎められる、踏み殺す、拾う、殺す、拾う、殺すの繰り返し。

街からあれだけうるさかった野良犬の吠える声が聞こえなくなった曇りの日、クソ酒場で一人の異国の女性と出会った。南の方の出なのだろうか僕より少し黒い肌がゴミのような照明に反射してキラキラととても綺麗に見えた。

気がつけば朝、隣でその女が素っ裸で寝ていた、名前も知らないのに。

案の定警官が部屋に踏み込んで来た、性行為は違法なんだとか。

そう吠える警官の目の前で女の頭をコルトで撃ち抜いて見せた。

どうやら僕は自分でも気づかない間にその女を愛していたらしい、硝煙と脳漿を身に纏い、牢屋の中でそう結論付けた。

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愛を禁じられた国での性行為の薦め 坂無さかな @Oreno_Gondola

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