久慈川高校カラオケ部
一条あきら
第1章
#1 間宮凪の朝
間宮凪は、平日は毎日決まって同じ時間に起きる。学校があってもなくても、夏でも冬でも、それは本人の意思とは関係なく。
____________
少しずつ意識が覚醒する。
どんな夢を見ていたっけ、数秒前のことなのに全く思い出せない。
スマートフォンを手に取り、時間を確認する。6時29分と表示されていた。
俺はベッドから降りると、真新しいカーテンを開けて青空を見上げた。高いビルやランドマークは一切見えない。今日からこの島で、俺の新しい生活が始まる。
6時30分。聴き慣れたイントロがスマートフォンから流れる。俺は息を吸い込み、小さな声で歌い始める。
〈 いつか出逢う僕ら 同じ歌を口ずさむなら 〉
〈 それは運命と名付けよう まだ見ぬ君は今どこにいる? 〉
最初のサビが終わったところでタンスに手をかけ、適当な服を取り出してベッドにのせる。
この歌は今月のアラームに設定したものだ。女性アイドルグループにしては少しサビのキーが低い歌で、すぐにダウンロードした。
「そういえば、この島カラオケあんのか…?」
思わず着替える手が止まる。引っ越してきたばかりのこの島でなら、友人の目を気にせず思う存分カラオケに通うことができるかもしれない。
今日はカラオケを探そう。離島とはいえ、駅前や大きな通りの近くにはあるはずだ。もしかしたら気づいていないだけで、家のすぐ近くにもある可能性もある。もしかして、離島だから料金が安かったりして…
俺は想像を働かせながら、朝食を摂るためリビングへ向かった。
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