ガーベラの日記
@ningyoushi
第1話
咲いた咲いた
黄金を帯びた一輪の花
夕焼け色に咲くその姿は
まるで太陽のようだった
冷たい空をお日様が
虹色の光線で照らすのが合図だ
立派な花びらを見せつけて
どちらが美しいかを競った
月が欠けまた満ちた
鮮やかな黄赤の面影は消え
花弁は錆色に縁取られた
一輪の煉瓦色の花
以前その姿を崇めていた者共は
今の様を見て笑うようになった
不貞腐れ美しさを主張するように
空の神に挑み続けた
それからさらに日が経った
花唇は醜く縮れていき
首は弱り天を向けなくなった
一輪の褐色の花
雪が降り年が明けた
もう立てない鉄黒の花
自慢だった弁はワタを生やし
長い長い旅に出た
散った散ったガーベラの花
最後まで咲いて咲き続けた
みすぼらしくとも咲いてやった
一輪の黄金の花
ガーベラの日記 @ningyoushi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます