第5話 ならず者ミノタウロス
宿屋を転々としていたアステリオスはやっと腰を落ち着かせることが出来た。
彼は町に入って最初に行ったことは、宿屋にヤマトが泊まった場所を探すことだった。
この町にある料理などにありつきたかったのだが、どうしても金銭はヤマトが管理している。小遣い程度の金は所有しているが、それでは食べることができるものが限定されてしまう。真面目なヤマトのことだ。すぐに拠点を確保するとアステリオスは判断した。
彼は片っ端から宿屋を巡り「ヤマト」の名で泊まっている者がいないかを聞き続け、ようやく。彼が泊まったであろう部屋にたどり着いた。代金はきっちり四人分払っていたらしく、スムーズに入ることが出来た。
ヤマト本人の姿は見えない。外がざわつきはじめた。アステリオスは窓を開ける。
「誰か捕まったのか?」
「あぁ、また騎士団長様がやってくれたそうだ」
「彼こそ、我がジェミ王国の守護神だな」
アステリオスは困惑した。ジェミ王国? ここはジェミ共和国じゃなかっただろうか。
アステリオスはメモを手に取り【『騎士団長』と『ジェミ王国→ジェミ共和国ではなかったのか?』と記載しておく。
この町の情報はいち早く確保しておかないといけない。
アステリオスはさらに窓から外を覗いて、住民たちの会話に耳を傾ける。
「しかしあれだな。騎士団長様にはあいつもどうにかしてほしいねぇ」
一人の男が思い出したように溜息を吐いて答える。
「また被害が出たらしいな《辻斬り》」
「あぁ、細い奇妙な剣で通りかかった者をめった刺し! 騎士団の一人がやられたらしい」
「なんでそんな情報知ってんだよ」
「騎士団二人いたんだよ。片方は情報を騎士団長様たちに伝えるために逃げた。そっからだよ」
「おっかないねぇ。騎士団さんも切り捨てちまうのかい?」
「あぁ、逆に言えば、騎士団ばかりらしいけどな」
「そうなのか?」
「あぁ、そこが殺人鬼と辻斬りの違いよ。奴はどうやら騎士団を狙って襲っているらしい」
アステリオスは盗み聞きをしながらメモを取る。『辻斬り』と記載。
「まぁ、お互い大丈夫だと思いたいが、気をつけようぜ。俺、店戻るわ」
「あぁ、俺も仕事終わったらそっち食いにいくよ」
「毎度ありー」
その会話を最後に男二人はどこかへと行ってしまった。
アステリオスはお喋りな方の男が食事を売っていることを知る。彼の情報通な理由は、その店に訪れる者たちのおかげだろう。
アステリオスは部屋にある自分の荷物を見つめる。
「よし、僕は僕なりの方法へみんなを探すか」
その後アステリオスは宿屋の主人の元へ行く。
主人に聞いたのだ。この町での屋台をする際に注意すべきことなどを――。
アステリオスは大きな広場に運よく陣取り、自分の荷物を広げた。爆ぜもろこしを作る際に使うカラクリとその材料だ。機械を正しく設置した後、スイッチを押す。カラクリが稼働して、熱を帯びるまでしばらく待つ。
その間に乾燥させたトウモロコシを準備、バターの状態も大丈夫かを確認。岩塩を砕いて粉状にしてゆく。
その様子を奇妙がって小さな子どもがアステリオスに近づく。
アステリオスは砕いた岩塩の粉末を小皿に分けて少年の前に差し出す。
「舐めてみる?」
「いいの!?」
「あぁ! 最初に興味を持ってくれたお礼だよ。少しだけ指に付けてペロリと」
アステリオスは自分で指に塩をつけてペロリと舐めて、子どもに見本を見せる。子ども、恐る恐る指に塩をつけて、それを口に入れる。
「おいしい!」
「でしょう? これを使ってもっと美味しいものが出来るから待ってて!」
笑顔になった子どもの表情にアステリオスは思わず顔がにやけた。
鉄板の上がゆらゆらと蜃気楼を映し始める。鉄板が温まった証拠だ。アステリオスはその鉄板にバターをひとかけ、ジューっと音を立てる。見ていた子どもの目が輝く。
そこにトウモロコシを入れて、塩をかけて、蓋をする。
子どもの数が少し増えて、それにつられて大人たちもなんだなんだと屋台に集まる。
「これから提供するのは世にも不思議な食べ物。これがもー! 美味しいのなんの! 大人の人は是非、エールの用意をお願いね!」
アステリオスは仰々しく語る。訝し気に見ている者もいる中で、何名かの大人は彼の言葉を信じて、エールの入ったカップを片手に覗き込んでいた。
蓋の中からパン! パンパン! と激しい音がなる。それに観客たちは驚きの声をあげる。
「な、中で何が起こっているんだ?」
音はどんどんなるので、その音を聞くので楽しくなっていった観客たちはウズウズとその完成を待つ。
アステリオスもこれには非常に満足であった。元いた国、タウラス民国ではこのようなことは決して起きない。皆が異分子を恐れる国柄であったタウラス民国では、このように何が起こるかわからないものを期待するという楽しみ方を知らなったのだ。
音が鳴りやみ、アステリオスは完成したことを理解する。
「さぁ! これが僕が目指すカガクで作り上げた最高傑作! 爆ぜもろこしだよ!」
蓋を開けると雲のような不思議な形をした食べ物が溢れてくる。
途中から見た大人たちはきょとんと首を傾げていたが、最初から見ていた少年が目を丸くして驚いていた。
「うわぁ! トウモロコシがこんな形になるの!」
「あれ、トウモロコシなのか?」
「いや、穀物がこんな形になるわけ」
「しかも、すげぇ、いい匂い」
「おい! 君、それを早く食べさせてくれ」
一人の大人が我慢できずに金を持ってアステリオスの前に集まる。
アステリオスは想像以上の賑わいに驚いていた。元々設定していた値段を話すと、男はすぐにその代金を出した。アステリオスはそれを彼に渡すと、彼はすぐに口に一つ投げ入れる。
「うめぇ! これすげえうめぇな。確かにエールにあう!」
男は片手に持っていたエールで喉を潤す。その様子を見たものたちが次々と購入してくれる。
すぐに作った分が無くなってしまったので、また作り直す。子どもも、大人もみんな楽しんで食べてくれる。
中にはこれは儲けになると感じた商人がすぐさまアステリオスの隣で大量のエールを売り始めた。
「坊主! 後で分け前は少し分けてやっから、利用させてもらうぜ」
お兄さんはギヒっとアステリオスに笑みを浮かべた後、声高らかにエールを売り始める。これも当然大人たちは待っていましたと言わんばかりに売れていく。アステリオスは自分が始めたものがきっかけでここまでこの場が賑やかになった事実に感動していた。だからこそ急いで次の準備を進める。
「そうだ。お客さん」
もろこしを仕込んでいる間に、店頭で爆ぜもろこしの完成を待っているお兄さんに問いかける。
「なんだい?」
「僕、この町に来てばかりの商人なんだけど、知っておいたほうがいいこととかあるかい? ほら、郷に従えって言うでしょう?」
「そうさなぁ。この町での名物のようなものはやはり姫様か。嫡男も生まれず、先代王を失ったせいで我が国では、幼い姫様が王女として君臨している」
「じゃあ、統治に少し問題があるのかい?」「そんな! むしろ逆さ。姫様の統治能力は物凄く高い。まだ少女だというのにね。この国のみんな、彼女が大好きだ。彼女ほどの人徳者はいないよ。それに彼女の兄が騎士団長を務めている。あの兄弟が我が国にいる限り、安泰さ」
「あれ? お兄さんがいるの?」
アステリオスは男の言葉の矛盾に気付いた。男が生まれなかったから王女がいるのではないか? 兄がいるのでは、それが王になるのではないか。王政でなかったタウラス出身のアステリオスでもその程度の常識は持ち合わせていた。
「あぁ……。その兄っていうのが、嫡男ではないらしいんだ。噂では拾い子で血も繋がっていないらしい。だから、王の血筋の姫様が君臨なさっている。その兄が騎士団長を務めていて、これがまた強いのなんの!」
男は鼻息を荒くしながら語る。彼はよほど騎士団長を気に入っているのだろう。それだけで騎士団長の頼もしさが伺える。
「へぇー。でも聞いたよ。辻斬りが出るって」
「兄ちゃん情報通だね。来たばかりだって言っていたのに」
「たまたま聞いてね」
「そうだな。ま、兄ちゃんは狙われねえよ。辻斬りが襲うのは騎士団って話だし」
「どうして騎士団を襲うんだろう?」
「さぁな? 王政に文句のある奴としか、想像はできないな」
「他には? 物騒なものとかない?」
「他ぁ? んー、あっ。ラビリンスっつう連中は知識に入れといた方がいいな」
「ラビリンス?」
お兄さんは少し周りをキョロキョロして、アステリオスに顔を近づけて小さな声で話した。
「あぁ。この辺のならず者集団だ。つっても、俺たち市民からすればちょっとの金で悪い輩から守ってくれる義賊みたいなもんだから、対して注意はしなくていいんだがな。金持ちとか、王族直属の騎士とかの蔵に潜り込んでは金品を漁ったりする輩さ。素行が悪いからな。目をつけられると、色々面倒だ。繋がりを持っても騎士団に目をつけられるし」
そう話しているお兄さん自身の雰囲気はラビリンスに悪い印象を持っている様子はなかった。彼もなんらかの形でラビリンスというものたちと関係を持っているんだろう。アステリオスはお兄さんの耳元に寄る。
「つまり、町の中でも好き嫌いが別れるから、あまり話題に出さないほうがいいってこと?」「そういうこと」
お兄さんはニカっと笑った。爆ぜもろこしが激しい音を立て始める。仕込んだものが間もなく完成する。
「他には、何かあるかい? 行かないほうがいいところとか」
アステリオスはお兄さんにさらに問う。タウラス民国の時にも、神性な土地が山の中にあって、修行のためでも、その地には入ってはならぬというものがあった。この国でもそういったものがあるか、確認する必要があった。
お兄さんは首を傾げる。激しく音を立てていた爆ぜモロコシの音が止んだ。完成したのである。
「そうさなぁ。あまり『西側』には行かない方がいい。それくらいかな」
「どうして?」
「んー、行っても意味がないから。かねぇ」
お兄さんの言葉には何か含みを感じたが、何か答え辛そうにしていたので、アステリオスはそれ以上を追及することを諦めた。
「ありがとうお兄さん。色々教えてもらって。少しサービスするよ」
「おっ! 本当かい! ラッキー」
アステリオスは話してくれたお兄さんに少し多めに爆ぜもろこしを盛って渡す。お兄さんは陽気に手を振って、そのままどこかへ行ってしまった。アステリオスはその後も、爆ぜもろこしを待つお客さんから情報を集める。
アステリオスは、自分の屋台を囲む人々を見て、彼は思わずにやけながら接客をする。
彼の店の周りは、爆ぜもろこしを食べている人々の笑顔で溢れていた。
しばらくして、やっと人の波がなくなっていった。用意していた爆ぜもろこしが後少しになったので、自分で食べる用に少しだけ作る。
「おい」
爆ぜもろこし用の蓋を閉めてしばらく見つめていると、迫力のある低い声が耳に届く。声の方を見ると、物凄い身体の大きな男が、こちらに目線を合わせるために屋台の前で腕を屋台のカウンターに乗せて話しかけていた。
「ごめんね。売り物は全て無くなっちゃったんだ」
「そうなのか? 今作っていたじゃねぇか」
「これはほんの少しだから僕が自分で食べようと作ってる分」
「なら、それをほんのちょっとくれよ。代金は一食分でいいからよ」
凄く威圧感のある男だった。しかし、アステリオスはこの男の目をじっと見つめてしまう。吸い込まれるように、目を見てしまう。
初めて会った気がしない。それもそのはずなのだ。アステリオスは彼を見たことがある。
この町で、ではない。今まで何度も見てきたのだ。彼の鋭い目を、筋骨隆々とした姿を。
夢の中で――――。
「ミノタウロス」
「おっ、俺の名前を知っているのかい? 兄ちゃん」
ミノタウロスがニカっと笑う。アステリオスは動揺が隠せなかった。今、自分の目の前にいるのは、自分が強化スーツ、ミノタウロスを作る際に、頭の中でイメージした。最高の自分そのものだったからだ。
身体が震える。夕方になった空の橙がミノタウロスを照らす。余りに神々しく、今まさに自分の理想が目の前に立っている事実にアステリオスは言葉を出すことが出来なかった。
爆ぜもろこしがパン! パパン! と大きな音を立てている。
「おっ、この音いいなぁ。ガキ共から聞いていた通りだ。この音が鳴りやんだら完成か?」
「あっ、そそだね」
ミノタウロスが何かを話していても、アステリオスはこれを聞き流してしまう。
いまだに信じられないのだ。目の前で起こっている事実を。
「おーい。兄ちゃん? 大丈夫か?」
「あっ、い。いや、ごめん。うん。鳴り終わったら全てのトウモロコシが爆ぜて完成だよ」
「なら、この音聞いて待っていればいいんだな。すげぇな。この食い物は、待っている間も楽しめるなんて」
ミノタウロスは屋台に背を向けて座り込み、目を閉じる。爆ぜもろこしの爆ぜている音を楽しんでいるのだ。
アステリオスは背中に何か引っ張られるような感覚に襲われる。身体から心とか、精神とか、そういったものを引っぺがそうとしているみたいに。
パン! パパン! と爆ぜもろこしが鳴り響く。
目の前に、自分が憧れた。才能ある身体をした男がいる。求めていた理想がある。
パン! パパン! と爆ぜもろこしが鳴り響く。
自分が目指そうとして、諦めた姿が目の前にある。息が荒くなる。身体が消えてなくなりそうなほど熱い。
パン! パパン! と爆ぜもろこしが鳴り響く。
「しっかしすげぇな。兄ちゃん。料理なんか出来て」
突然話しかけてきたミノタウロスの言葉に、アステリオスは正気に戻る。
今まで引っ張ってきていた影たちはゆっくりと消滅していく感覚がある。
「えっ、あっ。そうですね」
「おりゃ、ガキ共を結構な数囲ってんだがな? 母ちゃんみてえなことは何一つできなくてなぁ。食い物を用意してやるだけ。あとは好きに食えってやってるわけだ。御覧の通り、力しかない不器用な奴だからさ、俺。兄ちゃんみたいに手料理の一つでもできりゃあガキ共も喜ぶんだがなぁ」
爆ぜもろこしの音が止んだ。バターの香ばしい匂いが鼻を抜ける。
「おっ、いい匂いじゃねぇか。早く開けてくれよ」
アステリオスはまだ呆然としていたが、蓋を開ける。爆ぜもろこしが姿を現す。
「いっただきまーす。あっち! あちち」
鉄板から直接爆ぜもろこしを取ろうとしたミノタウロスは出来立ての爆ぜもろこしの熱さに驚いて、彼の手の上を爆ぜもろこしが何度も跳ねる。
「ほら、器に盛ったものあげるから落ち着いて」
その様子に思わずアステリオスは冷静になって、盛り付けた爆ぜもろこしをミノタウロスに渡す。
「あぁ。悪いな。んじゃ、改めていただきます」
ミノタウロスは一口爆ぜもろこしを口に運ぶ。その後、表情が緩んでいく。
「こりゃうめぇな! おい!」
「ありがとう」
アステリオスも自分の作った爆ぜもろこしを一つ、口に運ぶ。何度も挑戦して、美味しくなるまで工夫したことを思い出す。そして今、目の前で。自分の理想を形作った姿の男がその努力の結晶を喜んでくれている。
「君も少しは料理の勉強をしたらその子どもたちも喜ぶんじゃない?」
アステリオスは自身満々に言った。
不思議と何かに引っ張られる様な感覚は完全に消滅していた。むしろ自信に満たされる様な暖かい気持ちが体内を包んでゆく。
「そうだなぁ。よかったら教えてくれや。俺はこんなナリだから誰かに頼みづらくってよ」
恥ずかしそうに笑うミノタウロスにアステリオスは思わず笑ってしまう。
「貴様! ラビリンスの首領。ミノタウロスだな」
突然後ろから怒声が聞こえる。アステリオスは驚いてしまう。ミノタウロスは慣れた様子で笑みを浮かべながら、騎士団の方を見つめる。
「ラビリンスの……首領?」
「おいおい、こんな遅くまでご苦労だねぇ。もう町の人たちも帰っているから、捕らえても目立てねぇぞ? 騎士団長様みてぇに」
「我々は見世物として警備を行っているのではない!」
騎士団の男は飄々とした態度のミノタウロスに怒鳴りながら剣を抜く。
「おいおい、商人もいるのに物騒だなぁ」
「狙いは貴様だ! ミノタウロス!」
騎士団の男はそのまま剣を振り上げ、ミノタウロスに向かって走ろうとする。
だが、一瞬。騎士団の男の顔が痛みで歪む。
「ん?」
ミノタウロスは騎士団の男の背後にいる気配を感じる。
騎士団の男は苦痛の表情のまま動かず、そのまま倒れてしまう。
あまりに唐突のことにアステリオスは気が動転としてしまう。ミノタウロスはアステリオスを庇うように腕を彼の顔の前に出して目の前の状況を見せないようにした。
「騎士団は殺す」
小さな声がアステリオスの耳に届く。その声がまた、アステリオスにとって聞き覚えのある声だった。
どういうことか。アステリオスは混乱した。今、自分を庇って現場を見せないようにしてくれている。自分の理想と同じ姿をした男。
そして、目の前で人を斬り捨てておきながら、平然としている聞き覚えのある声の剣士。
「てめえ……辻斬りか」
ミノタウロスが歯ぎしりを立てて目の前の男を睨みつける。アステリオスには男の顔が見えなかったが、確かめておきたくて、ミノタウロスの腕をどかせて顔を見る。
辻斬りと呼ばれた男は布で顔を隠しており、よく見えない。しかし、聞いた声は確実に知っている声だった。
「……ミノタウロス。ラビリンスの首領か。お前に用はない」
布からちらりと見える口元や声、背丈も見覚えのあるもので、アステリオスは戸惑って思わず叫んでしまう。
「ヤマトだよね!」
突然叫んだアステリオスの声にミノタウロスは動揺が隠せない。
「おい兄ちゃん。あの辻斬りの正体知ってんのか!?」
ミノタウロスが叫ぶと共に、辻斬りヤマトが刀を構える。目の前の辻斬りは一度首を傾げるが、すぐに剣を抜いた。
「俺の顔を知っている者。生かしておけん」
ヤマトが迫ってくるのを感じ取ったミノタウロスは屋台の裏に回ってアステリオスを抱え込む。
「すまんが、屋台は諦めてくれ!」
ミノタウロスは軽々とアステリオスを抱えて、思いっきり逃げてゆく。
ミノタウロスの脚力は凄まじいものなのか、ヤマトをしっかりと撒いて逃げてゆく。
「お前! あいつについて知っているのか!」
「い、いや。た、ただ!」
「ひとまず、俺のアジトに逃げるぞ!」
アステリオスはヤマトの、信じられない姿に戸惑いながら、自身の理想であるミノタウロスに抱えられて、町の隙間を縫って駆けてゆく。
夕日に照らされたジェミ王国は、徐々に月明りに照らされる夜になってゆく――。
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