七百十三話 上げる必要がある、かも

味方がいきなり消えて若干オロオロしていたマグマゴーレムだが、雑念を振り払って突進。

もう一体はうっかり罠を踏むことなく三人の元まで辿り着いた。


「俺が相手をしよう」


ザハークは一歩前に出て拳、足に水を纏ってマグマゴーレムのダッシュパンチを受け止め、反撃。


三十一階層から四十階層に出現したマグマゴーレムと比べ、瞬時的に四肢に火の魔力を纏う可能であり、戦闘技術が確実に向上していた。


そこまでの強さを持っていると、さすがにザハークも水の魔力を使って対処する必要がある。


(良い重さだ! 存分にやり合おう!!)


殴り合える敵は大歓迎。

戦闘技術だけではなく、レベルが上がっている影響で、スピードも先程までの階層に出現する骨体より上がっている。


ただ、ザハークもあまり戦うことに集中し過ぎてはいけないと解っているので、体感で六十秒を過ぎたら右手にドリル状の水を纏い、マグマゴーレムの魔石を奪い、討伐終了。


「ナイスファイト、ザハーク」


「先程までの階層に出現する個体と比べて、確実に強くなっている。少し気を付けた方が良いだろう」


「おう、分かった」


ソウスケとミレアナが強いということは身に染みて理解している。

理解しているが、上層から四十層までに出現するモンスターと比べて、これは少し警戒レベルを上げた方が良いと……直感的に感じた。


二人もそんなザハークの考えを理解し、いつでもモンスターが襲い掛かってきても大丈夫なように警戒心を強める。

とはいえ、そこまで三人が警戒レベルを上げると……モンスターが奇襲のつもりで襲い掛かっても、あっさりと攻撃はガードされ、反撃を食らう。


(うんうん、ザハークの言う通りだな。これは前の階層までと比べて、もうちょい警戒した方が良いと思ってしまうな)


現在ソウスケが対峙しているモンスターはマグマリザードマン。

数は四体だが、四体とも普通のマグマリザードマン……だが、ソウスケは今まで戦ってきたどのリザードマンよりも連携が取れているように感じる。


(状況によって火の斬撃も飛ばしてくるし、油断してたら掠り傷ぐらいは負ってしまうか?)


そんなつもりはサラサラないが、ソウスケはソウスケでザハークと同じく、戦いを楽しみたいタイプ。

特に下層に出現するマグマリザードマンなど、とても丁度良い相手だと思い、先程のザハークと同じく……一分ほど一対四の戦いを楽しんだ。


(だいたい一分経ったな)


約一分経ったので、身体強化のスキルを使ってグラディウスでサクッと首を斬り落としていく。


「ザハーク、見張り頼んだ」


「任せろ」


マグマゴーレムはサクッとある程度の大きさに切って終了だったが、マグマゴーレムは血抜きしてから解体しなければならない。


周囲にトラップがないことを確認し、ソウスケとミレアナはかいたいに集中。


「……敵か」


遠目ではあるが、こちらにレッドゴーレムが向かってきていることを確認。


他に敵がいない事を気配感知で把握してから、何故かスリムなレッドゴーレムと激突。


(ほぅ? これはこれは……時間に余裕があれば、是非とも長く楽しみたかったな)


先程のマグマゴーレム以上のスピードで近づいてきた細身のレッドゴーレム跳び蹴りをかますが、ザハークは危なげなくガード。


だが、先程までと違って直ぐに身体強化のスキルを発動。

細身のレッドゴーレムも直ぐに使用し、時間にしてほんの十数秒だが……二人はバチバチに拳や脚をぶつけ合った。


「……ッ」


ある程度容赦なく攻撃した影響で、レッドゴーレムの体に亀裂が走る。


そしてザハークは両手に水を鋭く纏わせ、手刀で四肢と頭部を切り裂いた。

最後はマグマゴーレムと同じく魔石を取り出した終了。


戦闘時間に関してはマグマゴーレムの方が長かったが、ザハークは細身のレッドゴーレムとの戦いの方が満足感があった。

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