四百五十七話 仲間の強さは十分!

(打撃に特化しているということは、おそらく人型のモンスターだろうな)


もちろん人型のモンスター以外にも打撃を使用するモンスターはいるが、ソウスケが予想するモンスターに近い可能性が高い。


(それで火山付近に生息するって事は……多分火属性だよな。火属性の人型のモンスター……レッドリザードマン? 確かに拳で戦う系の個体はいるけど、レッドリザードマンがCランクの冒険者をコテンパンに倒してしまうか?)


リザードマンも上位種になればそれだけの力を持つ個体もいるが、それが極稀に存在する個体。

そんな個体が火山付近に存在することも否定出来無いが、可能性がゼロでは無い。


「ソウスケさんは、どのようなモンスターが生息していると思いますか」


「……人型ってのは間違いないと思う。ただ……どういった特徴を持ったモンスターなのかは想像出来ないな。Cランクの冒険者を圧倒出来る力を持っている。そういった人型のモンスターはいるだろうけど、速さが同等でなければ話にならない」


「そうですね。それに火山付近に生息しているので、火属性のモンスターかと思いますが……そこに関してはどう考えていますか?」


「火属性をモンスターなのか……それとも火に対して耐性を持ったモンスターなのか、それはハッキリ出来ないな」


モンスターは自分が生きるのに適した環境を望む。

火耐性があれば、火山付近であっても生きていくのに問題は無い。


(ただ……そういう場合はどういったモンスターになるんだ? オーク……なら、Cランクの冒険者がボコボコにされるって情報より、女性が被害に合ってるって情報が先に出る筈……それならトロールか? でも足の速さが……だめだ? 全く解らん)


トロールはBランクの巨人タイプのモンスターであり、パワーは確かに強烈だ。

ただ、脚は遅い。Cランクの冒険者が攻撃を躱すのにそこまで苦労はしないというのがソウスケの見解。


(単純な人型って考えを抜けばコボルトとかゴリラ系のモンスター・・・・・・後はゴーレム系か。レッドゴーレムの上位種とかか? でも、ゴーレム系のモンスターもそこまで速くは無いし……まっ、そこら辺は冒険者の身体能力にもよるか)


ソウスケは今まで順調にレベルを上げて来たこともあり、速さは冒険者の中で上の中には入っている。

そして身体強化系のスキルに加え、他の身体強化系のスキルも習得。もしくは蛇腹剣で喰らっている。

身体強化に関しては二重で発動することが出来、並大抵のモンスターでは追いつけない。


「まぁ・・・・・・あれだな。うちのザハークが喜びそうな相手ではあるよな」


「えっと……その従魔は戦うのが好きなのですか?」


「あぁ、強い敵と戦うのが超好きだ。というか、あいつ喋るからただ強いだけじゃないしな」


「「「ッ!!!!???」」」


いきなりとんでもない情報をソウスケがツッコミ、令嬢達はおもわず飲んでいた酒を吹き出しそうになった。


「そ、それは本当なんですか!?」


今までクールな態度を保ってきていたセリス・ファイザーが心底驚いた表情で確認する。

その表情は当然の反応であり、モンスターが人の言葉は喋るというのは大変珍しい。


「あぁ、ザハークは元も希少種だったんだよ。そっから進化して今は立派なオーガって訳だ」


「希少種のオーガ……や、やっぱり強いんですか?」


カレア・ザリザスはオドオドしながら重要な事を質問する。

三人が探している珍しいモンスターは珍しいだけでなく……強い。


事実として、単純に強い。


なので、そのモンスターを探し……できれば討伐するためには高い戦力が必要になる。


「強いよ。Bランクぐらいのモンスターなら単独で倒せるはずだ。ミレアナも超強い。接近戦も遠距離戦も出来るからな」


接近戦と遠距離戦が両方とも出来る技量に関しては、ソウスケとザハークにもある。


「Bランクを単独で……そ、それは本当なのですか?」


「本当だよ。まっ、疑ってしまうのは当然だろうけど……実力に関しては頼っても良い存在だよ……マスター、もう一杯」


一杯目を飲み終わったソウスケは二杯目を頼む。


年齢は自分達と大して変わらない少年が、三人の眼には自分達が現状では全く届かない位置に立っている様に思えた。

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