四百二十三話 一時的に
ゴブリンの群れを偵察する翌日の顔合わせ日、ソウスケ達は指定時間の十分前にはギルドに到着していた。
中には既に他のEランク冒険者も入っており、その中にはグランの姿もあった。
「よう、この前ぶりだな」
「あっ、どうも。もしかしてソウスケさんも今回の偵察に参加するんですか?」
「そうなんだよ。ギルドから受けてくれないかって言われて、別に用事が無かったから別に良いかと思ってな。というか、グランはパーティーを組んで無いのにギルドから誘われたんだな」
基本的にはEランクのパーティーに声を掛けていると聞いていたソウスケはソロで活動しているグランがこの場にいることに、少なからず驚いていた。
だが、直ぐにグランが今回の偵察に呼ばれた理由を察する。
(接近戦に限れば俺とミレアナという例外を除いたらもしかしてEランク帯では最強かもしれないし、それを考えれば今回の偵察依頼に呼ばれてもおかしくは無いか)
まだまだ成長期であり、完全に強さが完成している訳では無い。
ソウスケから貰った硬化と土魔法も毎日実戦で訓練しており、相手がベテランのEランクであっても後れを取ることは無い。
ギルドもグランのモンスター討伐依頼の達成率の高さを知っているため、今回の偵察依頼に勧誘した。
グランはEランク帯の冒険者の間では結構有名であり、今回の依頼に参加した際に他のパーティーと合流して即席のパーティーを作るだろうとギルドは考えている。
「はい、ギルドから受けてみないかと言われて。報酬もそこそこ良かったんで受けてみようかと思って。……えっと、なんか周囲からの視線が集まってるような気がするんですけど」
「ん? あぁ~~~~……まぁ、それは俺かミレアナに対してだろうな」
まずはEランクというまだ新人のラインを超えていない冒険者なのに呼吸をするのを忘れてしまう程に美しいミレアナを仲間にして、一緒に行動していること。
これに関しては女子より男子の方がソウスケに対して恨めしい視線を向けている。
新人でもお金を使えば勿論娼館に行けるので、現在会議部屋にいる中で男子全員が童貞という訳では無い。
だが、金を払えば女を抱ける娼館だが、それでも払える金の量によって抱ける女のランクは変わってくる。
なのでミレアナほど全てが整った女に相手をして貰った男はこの中ではいない。
それと、単純にミレアナという美女が仲間にいるという待遇にたいして羨ましいと感じている男もいる。
そしてザハークと言うオーガの従魔を仲間にしている。
それは男女関係無く嫉妬心を集めている要因だ。
ザハークの戦いぶりを見ていなくても、その強さがEランクにおさまるものでは無いというぐらいはルーキーでも解る。
簡単に言えば、自身は大して働かなくても金を稼いでいるヒモ野郎。
場所は変われど、それがソウスケに対するルーキー達の反応だった。
(そうやって睨みたくなる気持ちは解らなくもない。だって、俺がお前達の立場だったらぶっ殺したくなるぐらい羨ましいと思う)
睨んでくる同ランクの冒険者達の気持ちが解かるため、ソウスケは特にその者達に対してどうこうは言わず、睨み返すことも無い。
「まっ、そんな事はどうでも良い。それよりグラン、今回の偵察間は俺達と一緒にパーティーを組まないか?」
「えっ、良いんですか!?」
突然の勧誘に、周囲の冒険者はしまったと思い、表情に焦りが生まれる。
今日の話し合いが終わった後にソロであるグランを自分パーティーに一時的ではあるが勧誘しようと考えていた者が全員であり、それを横から一瞬で取られてしまった。
グランの表情から決して嫌では無く、寧ろ嬉しいと思っている事がモロバレ。
「俺とミレアナとザハークにプラスしてグランが入ってくれれば丁度四人になるからな」
「私も賛成ですね。グランさんの実力はソウスケさんから聞いていますので、特に問題は無いかと」
ミレアナとしては寧ろ賛成だったので、グランの一時的なパーティー加入はすんなりと決まった。
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