四百七話 奇妙な噂?
悪魔との契約を終えた後、直ぐにミレアナはソウスケの部屋へと向かった。
「そ、ソウスケさん! ど、どうなりましたか!?」
「落ち着け落ち着け。別に何かを代償にしたりしてないから。強いて言えば俺の魔力ぐらいだし」
「そ、そうでしたか。それは良かったです」
事前に分ってはいた事だが、ソウスケが何かを代償すること無く悪魔との契約することが出来たことにミレアナはホッと一安心する。
「にしても、なんでこの契約書を盗賊達は使わなかったんだろうな」
「基本的に悪魔と契約を結ぶ場合は何かしらの代償を払わなければなりません。それが命なのか寿命なのか、それともお金のなのかは、実際に鑑定を使わなければ分かりません」
「だから盗賊達はこいつに手を出さなかったんだな」
「そうですね。それに鑑定のスキルを持っていたとしても、内容が偽造されている物もあるらしいです」
ミレアナの言う内容の契約書は数少ないが世に出回ったことがあり、遥か昔ではあるがその契約書のせいで国一つが滅びかけた事例も存在する。
「スキルレベルが一から三程度ではそれに気付けないと聞いたことがあります」
「ま、マジでか……今はレベル六だからそういうのにも騙されないだっろうけど、今更ながらちょっとビビった」
元々神からレベル五の鑑定スキルを貰っていたソウスケ。
街中を散策する時に気になった人以外の対象を鑑定している。
そのお陰で着実にスキルレベルは上がっていた。
「それでは冒険の際にもその悪魔達の力を借りるのですか?」
「う~~ん、それに関してはその時々で決めようと思うんだ。本当に俺達の実力でもヤバいなって思う敵が現れたら勿論力を借りる。でも、そういう時以外に二人がこっちの世界で戦いたいって思うなら、状況を考慮して戦わせても良いかなって考えてる」
「・・・・・・ソウスケさん、契約した悪魔の数は二体なのですか?」
「おう、二体だったぞ。片方は女でもう片方は男だった。もしかして結構知られている悪魔なのか?」
「い、いえ。そういう訳ではありません。ただ、珍しいケースなのは間違いないかと」
基本的に一冊の契約書で契約出来る悪魔の数は一体のみ。
しかし契約した悪魔が高位の存在であれば、自身の部下的な存在を扱う事も出来る。
「男の方が戦闘面を、女の方が暗殺面を任せてくれって言ってくれてたから、これで頭の片隅にあった問題は解決したよ」
「そうですね。それは本当に良かったです。ソウスケさんに潰せない相手はあまりいないでしょうが、潰してしまった後の流れを考えると、そういう手段があればその後の活動に支障が出ないのは有難いです」
「まぁ、権力者たちの間で奇妙な噂が流れるかもしれないけどな」
ある冒険者に近づいた傲慢な権力者達は次々と命を落としていく、なんて噂が流れ始めるかもしれない。
(そもそもそんな阿呆共に絡まれないのが一番なんだけど、ミレアナという超美人でスタイル完璧エルフと、見た目はほぼ鬼人に近いオークの希少種であるザハーク。この二人が権力者達の目に付くのも時間の問題)
既に一人だけソウスケを探している貴族が……正確には貴族の子息がいる。
(ただ、関わって来た阿呆共が全員死ねば奇妙な噂が流れるかもしれない。それが後々余計な足枷にならないとは言い切れない。それなら……とりあえず全員を全員殺すのだけは止めておこう)
自分に絡んで来て害をなそうとする傲慢な権力者を全員殺すのは止めよう。
そう思ったソウスケだが、傲慢な権力者に対して何もしないという選択肢は無い。
「それぐらいの噂など、皆いつか忘れてしまうでしょう。それよりソウスケさん、明日の予定は朝食を食べ終えた後に商人ギルドに向かうというのでよろしかったですか?」
「おう、ちょっと試したいことがあるからな」
それを試すためには商人ギルドに話を通さなければならないので、わざわざ朝から向かう必要があった。
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