四百三話 予想外のアジト
街を出たソウスケ達はのんびりと道中を歩いていた。
天気は良く、気温も少し暖かい程度。
移動する時の状況としてはベストと言えるだろう。
「いくら天気や気温が丁度良かったとしても、戦闘が無くなるって訳じゃ無いみたいだな」
「そうですね。馬鹿はどこにでもいるという事でしょう」
現在ソウスケ達の周囲には多数の盗賊の死体が転がっていた。
「俺さぁ、何度も思うんだけどザハークほど強そうな面をしている奴がいるのになんで襲おうとしてくる奴がいるんろ」
「俺さえどうにかすれば問題無いと思っているんじゃないか? 実際俺を狙って襲ってくる数は多かった」
ザハークの考え通り、ザハークの顔みた盗賊達は一瞬怯んだが、いつも通り強そうな奴には複数で挑めば問題無いという結論に至り、襲い掛かった。
ただ、今回ソウスケ達を襲ってきた盗賊達は今まで遭遇した盗賊達の中では一番強かった……強かったのだが、それでもソウスケとミレアナ、ザハークの敵では無かった。
「そこそこ手練れではあったけど、やっぱり怪我を負う程度では無かったな」
「それでもCランクの冒険者では危なかったでしょう。盗賊なのですから対人戦に慣れているのは当たり前ですが、それでも腕は高かったかた。ところでソウスケさん、こいつらのアジトは潰しておきますか?」
「そうだなぁ・・・・・・おい、アジトの場所を教えて貰おうか」
死屍累々の中で、一人だけまだ死んでいない盗賊がいた。
男は三人がこの場から離れたタイミングで逃げようと考えていたが、ソウスケは死体の中に生き残りがいたことぐらい既に気付いていた。
「た、頼む! 命だけは!!」
「それならさっさとアジトの場所を教えろ。もし、正確な場所を教えなきゃ……俺の毒魔法で地獄を見せてから殺してやるよ」
「ヒっ!!!!」
ソウスケの右腕に宿る毒の魔力に男は露骨に怯える。
男の仲間にも毒魔法を使える者がいるので、ソウスケの言葉がハッタリでは無い事が身に染みて解る。
盗賊として生きていればいずれ死ぬ運命が待っている。老衰出来るなんて思っていない。
それでも生への本能が消える訳では無かった。
男はまだアジトに残っている仲間の事など考えず、アジトの正確な位置情報をソウスケ達に伝えた。
「オーケー、情報提供ありがとな」
そう言い終えた後、ソウスケは地面に落ちていた長剣を拾う。
「えっ……」
「なにアホ面してるんだよ。まさか自分に生き残るって選択肢があるとでも思ってたのか?」
目の前の男を生かす、なんて考えは元々ソウスケの頭の中には無い。
ソウスケが横に振った長剣により男の首は綺麗に跳ね飛ばされた。
「正確な場所を教えれば毒では頃さなって言っただけだろ。何を勘違いしてるんだか」
「そういうものではないのか? 情報を提供すればもしかしたらと思ってしまう、人間の本能的な部分であろう」
「……一理あるな」
ソウスケとしても今殺した男が抱いていた希望が理解出来なくは無い。
しかし生殺与奪の権を握っているのはこちらなので、わざわざ生かす義理は無い。
「さてと、ある程度強い盗賊団ってことは、持っているお宝も少しは期待して良いって事よだな」
「そうですね。中々期待して良いかと思います」
「一気に潰すか?」
「あぁ。相手の事を気にする必要は無い。確実に殺していこう」
生き残りから得た情報通りに森の中を進んでいくとアジトらしき場所が見つかった。
「……村か?」
「小さな村ですね」
ソウスケが予想していたようなアジトでは無く、そこには木で作られた家が多く立っていた。
「盗賊団の中に建築のスキルでも持ってる奴がいるのかもな」
「その可能性はあるかもしれませんね。どの様な方法で仕掛けますか?」
「火で燃やしてしまうのが一番手っ取り早い気もするけど……お宝が燃えるのは宜しく無いから風で行くか。ミレアナは矢で逃げる奴らを仕留めて貰って良いか?」
「任せてください」
ミレアナは数十の風矢を、ソウスケは十数の風槍を生み出し、盗賊団のアジトへと放つ。
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