三百六十二話 中々抜け出せない魅惑のベッド
ソウスケ達が入店したレストランの内装は今まで一番凝った内容であり、中に入ったソウスケとミレアナは数秒程見惚れた。
今回もソウスケの見た目によって入り口に待機している戦闘が行える従業員が店に入るに相応しいのか尋ねようとしたが、何時もの掌から金貨を数枚見せる方法で問題無く中へと入った。
ザハークに関しては従魔や馬が待つ場所に案内され、文字が読めるソウスケから伝えられた従業員は恐る恐るメニューが掛かれたボードを渡した。
そして三十秒程で決めたザハークが人の言葉をペラペラと喋り、メニューを正しく答えた事に驚くも直ぐに厨房へと向かってシェフに注文されたメニューを渡した。
「多分驚いてるだろうな」
「ザハークが人の言葉を喋り、文字を読む事をですか?」
「ああ。人の言葉を喋るモンスターより、文字を読めるモンスターの方が珍しいだろうからな」
そもそも人の言葉を喋るモンスター事態も少ないのだが、実際に見た事が無い者が多いだけで実在する。
しかし文字を読めるモンスターは、まず人の姿に化ける事が出来、尚且つ人の街に入らなければ文字と出会う事すらない。
(そもそも文字を覚えるのすら大変だよな。俺的には何故かスラっと解ったけど)
都合の良い体を用意してくれた神に感謝しながら従業員にメニューを頼み、料理が来るまでのんびりと待つ。
「どうやら同業者の方々も多いみたいですね」
「そうみたいだな」
ソウスケ達の様な冒険時の格好では無く、それなりの服を着てやって来ている冒険者は多い。
それを見てソウスケは何故自分が止められそうになったのかを理解した。
(冒険者のランクが上がれば貴族を相手にするときに相応しい服を用意する場面に遭遇する事もあるだろうから、店にやってくる冒険者に対してそういった服を着ているか来てないかも判断基準になってるんだろうな)
実際に店の入り口前で待機していた従業員二人はソウスケとミレアナが冒険者服でやって来たので声を掛けようとした部分はあった。
しかしミレアナのレベルが高い容姿とプロポーションを見てもしかしたら金自体は持っているのではと悩んだ二人だったが、身に付けている装備がそこまで高そうには視えなかったので結局確認することになった。
自分達も場に合った服を擁しておいた方が良いのかと悩んだソウスケだが、何時もの様に金貨や白金貨をチラつかせれば問題無い。
頼んだ料理がソウスケ達の元に運ばれ、夕食を食べ始める。
「一応の確認ですが、この街にはどれほど滞在いたしますか?」
「そうだなぁー。具体的な日数は考えていなかったけど、鉱石を集める時間と鍛冶を行う時間を考えれば二カ月以上は滞在するかもしれないな」
ソウスケがもし鍛冶場を欲すれば、優に三か月はかかる。
三か月も経てば季節が変わり、少し気温が下がる。
まだまだ冒険者としては問題無い気温だが、しっかりとした四季が存在するこの世界では冬になれば稼ぎに街を出る冒険者は大幅に減る。
寒い日はベットから出るのに時間が掛かるソウスケにとっては外に出たくない日が続く季節となる。
「二カ月以上ですか。もしかしたら気温が下がる時期に入るかもしれませんね。更に先の予定ですが、雪が降る時期の冒険者活動はどう致しますか?」
「雪が降る時期か。基本的に外には出たくないな」
ミレアナの問いにソウスケは外に出たくないと即答した。
その後、直ぐに暖房器具系の魔道具を造った方が良いなと思い、頭の中でアイデアを出し始めた。
「そうですか。ソウスケさんの総財産ならば問題無く越せると思うので心配はいりませんね」
「もしかして、冒険者はその時期になる前に金を貯めて冬眠するのか?」
「大半の方々はそうするかと。雪が降るような時期になれば体の体温が下がり、思い通りに体を動かせなくなるので怪我をしたり死んでしまう可能性が上がります。体が鈍らない程度に外に出て体を動かした方が良いと思いますが、それでも摸擬戦程度にしておいた方が良いかと」
ミレアナの説明にソウスケは大賛成だった。
(やっぱ冬は室内に引き籠るに限るよな)
日本で学生をしていた時には考えられない程の幸せなライフ。
そんな少し先の未来を考えていると、耳より情報がソウスケの耳に入って来た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます