三百四十一話 今度は一緒に
注文した夕食を食べ終え、その後にデザートを食べながら女子会を楽しんだ三人。
気付けば完全に日が落ち、店の閉店ギリギリまで話していた。
それに気付いたミレアナは店主から苦情が来るかと思ったが、どうやらそんな事は無いようでホッと一安心した。
そして従業員に話しかけられたリフィラとミナは聞き終えると店員に親指を立てて返事を返し、ミレアナの元へ戻って来た。
(最後しか聞いていませんでしたが、指名依頼の様なものでしょうか?)
特定のモンスターの肉を狩って来て欲しいという依頼内容であり、そして報酬は絶海と同じく個々の料理を二回タダで食べられるというものだった。
「随分と嬉しそうですね」
「店主から指名依頼みたいな形でモンスターの肉を狩って来て欲しいって頼まれたの」
「報酬は前と同じくここの料理二回分をタダで食べられる」
この店の店主は以前に森緑の大樹にモンスターの肉を指定して依頼を出した時に、肉の保存状態が思っていた以上に良かったのでもう一度リフィラ達に依頼したいと考えていた。
それを羨ましく感じたミレアナだが、料金を見た限り確かに一般的なお店と比べて高い。
しかしダンジョンに潜って大金を稼いでいる自分達からすればそこまで大きな出費では無いと思い、今度ソウスケとザハークを誘って店に来ようとミレアナは決めた。
そして宿へ戻ると先にソウスケがベットで寝ていた。
店を出るのが遅かったとはいえ、ソウスケより後に戻ってくると思っておらずミレアナは流石に帰ってくるのが遅すぎたと思った。
だが今日はお互いにそういった事を気にせず休日を満喫するという予定だったので、本来ならば何も問題は無い。
(ソウスケさんは寝てしまっている様ですし、今日はお風呂に入るのを諦めた方が良さそうですね)
何時もは交互に自作の風呂に入っているのだが、ソウスケを起こしてはならないと思ったミレアナは自身に汚れを落とす生活魔法のクリーンを自身に使い、寝間着に着替えてからベットに横になった。
三人とも休日を満喫した翌日、三人は再びダンジョンに潜っていた。
「相変わらず蒸し暑いな」
「そういった気候なのだから仕方がないだろう。というか、ソウスケさんは自身の周囲を風で覆っているからそこまで熱くは無い筈だ」
「いや、確かにそれはそうだけどな。でもやっぱりムワッとする感覚は消えないんだよ」
攻撃や防御に使える程の風力は無いため、魔力の消費量は少ない。
だが内側に向かって扇風機の弱より少し弱い程の風を浴びているので何も対策をしていない者と比べれば、大分楽な状態といえる。
「そうえいばソウスケさん、結局三十層以降に手に入れた宝箱は開けていませんよね」
「・・・・・・やっべ、完全に忘れてた」
ダンジョンを潜る中で最大の楽しみといえる入手した宝箱の中身。
それを開ける事を完全にソウスケは忘れていた。
三十階層以降から最下層のパラデットスコーピオンの上位種を倒した時に得た宝箱までを含め二十数個ほど開けていない宝箱がソウスケのアイテムボックスの中に存在する。
「まっ、開けるのは今回の冒険が終わってからでいいや」
「俺は別にそれで構わないが、一気に突っ切らなくても良いのか? このペースで移動するならば最下層まで到達するのにかなりの時間が掛かると思うんだが」
「私もザハークと同意見ですが、何か理由があるのですか?」
目的は最下層のボスであるパラデットスコーピオンの素材や魔石。
その死体を蛇腹剣に喰わせること。
なのでパラデットスコーピオンを二回倒さなければならず、そこそこの時間が掛かる。
だがその事に関してソウスケは大して気にしていない。
「この街に何度も来る訳じゃ無いんだから、ここで得られるモンスターの魔石や素材に薬草や果実はたくさんあって損は無いだろ。それに何が入っているか分からない宝箱を得られるチャンスなんだしさ」
宝箱とは言え、望んだものが手に入るとは限らない。中にしょうもない物が入っている場合もある。
しかし入っている物の有能性に関しては階層を下がるごとに増していく。
(金も道具も、多くある事に越した事は無い)
何時役立つかもわからない金と道具の為にソウスケは時間を気にする事無く、のんびりと歩を進める。
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