三百十八話 レベルが低ければ・・・・・・

ジーラスとバルスに付いて行き、やって来た店は値段が一般的な見せて比べて割高だが味な確かな店にソウスケ達はやって来た。

そして二人が先に中に入り、店の主人に了承を取ってからザハークも一緒に店の中へと入る。


店員に個室へと案内され、四人は椅子に腰を下ろして話を再開する。


「ここは完全に防音の個室になってるから安心してくれ」


「もしかして前の店みたいに店主の方が元冒険者なんですか?」


「いや、そういう訳じゃ無いらしい。少しだけ話してくれたが、裏の人間だったらしいぞ」


裏の人間。それだけでソウスケは店主がどの様な人物なのか少し恐ろしく感じた。

そんなソウスケの表情を見て、バルスがもう少し正確に話す。


「裏の人間と言っても、国に仕えていた人らしい。だからソウスケが想像している様な人物とは違うぞ」


「そ、そうでしたか。裏と言うのであまり良くないイメージを持ってしまいました」


「それは解る。俺も最初話を聞いた時は取らなかったけど、武器に手が伸びかけたからな」


当時の出来事を思い出すジーラスとバルス。

しかし店主の実際の姿は孫が大好きといった感じの爺さん。裏の人間には一切見えない姿をしている。


「それで、あまり大衆に知られたくないって事は、最下層のボスを倒せたのか」


「はい。というか、ボスが上位種でした」


「「ッ!!!!」」


ソウスケからの報告に二人は持っていたメニューが書かれてある板を落としてしまう。


「ま、マジでか」


「はい。あっ、これが魔石です」


倒した証拠としてパラデットスコーピオンの上位種の魔石をアイテムボックスの中から取り出し、机に置く。


「この赤と紫の色が混じった魔石は確かにあの蠍の上位種の魔石だ」


「部屋の中に入るまで九対一で通常のパラデットスコーピオンだと思ってたんですけど、運悪く上位種だったんですよ。なっ」


「ああ。正直自分焦った部分はあったが、ソウスケさんの眼が変わったのを見て気持ちを入れ替えて戦いを始めた。まぁ・・・・・・戦いの最中は中々息が出来なかったがな」


「それは俺達も解る。常に死を振りまいている様な相手だからな。俺は頭に死ぬイメージがこびり付かない様に戦ってる」


ジーラスとバルスも複数のパーティーで挑む場合、数の有利があっても上位種が相手では全く余裕が無い。

選択を一つ間違えれば寿命が確実に減る。そんな感覚を抱きながら戦っている。


「鑑定を使える冒険者が一度ステータスを見たらしいが、あいつは常時発動できる死の恐怖ってスキルを持っているかららしいぞ」


全く聞いた事が無いスキルだが、ソウスケはそれがどんな効果を持つのか大まかに解った。


「敵対する相手の精神に攻撃するって事ですか?」


「そんな感じのスキルだ。敵対する冒険者のレベルが低ければリアルに頭に自分の死のイメージが浮かぶ。個人によるが、そのせいで真面に戦えなくなる奴も偶にいる」


「? 最下層のボスに挑む冒険者が低レベルなんて事あるんですね」


今回戦ったのはパラデットスコーピオンの上位種だが、通常のパラデットスコーピオンであっても低レベルの冒険者では大して役に立たないが目に見えている。


「レベルが上がる条件は戦いに参加しているか否かだからな。サポーターは基本的に戦う術を持っていない奴がいる。偶に器用なサポーターは上手い事戦うんだがな。しかも前衛や後衛で戦う同じパーティーメンバーにうまく合わせて無駄な事はしない」


そんな実力があれば普通に戦った方が良いのではとソウスケは思ったが、冒険者として活動する考えは人それぞれなのでそれ以上考えるのは止めた。


「っと、話すの良いが注文を頼まないとな。二人は決まったか?」


「はい」


「ああ」


全員が注文を決めたのを確認し、ジーラスは端に置いてあるベルを鳴らす。

そして店員に注文を頼み、やってきた料理を食べて少しだけ腹を満たす。

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