二百九十七話 大雑把になってしまう

地上で休養を十分に取ったソウスケ達はダンジョンの二十回層へ転移し、ある程度のスピードで移動しながらも多くのモンスターを討伐しながら圧倒的なスピードで降りていく。


進む中で罠感知のスキルが無ければ気付かない様な罠をギリギリで避けながらも正面から襲って来るモンスターは勿論、空中から襲って来るモンスターに対して武器を使った物理攻撃や圧潰のスキルで倒せる敵は魔力を殆ど消費せず倒す。


しかし魔法を組み合わせなければ倒すのに時間が掛かる敵は魔力を惜しまず魔法と物理攻撃を組み合わせて倒していく。


スピード重視で探索を進めているため、モンスターに攻撃する際にソウスケとザハークは攻撃が大雑把になる事が多々あり、魔石を壊す事は無くとも素材の対部分が駄目になる事があった。


だが基本攻撃が弓であるミレアナはモンスター倒す際に殆ど素材を無駄にするような事は無い。


「やっぱり弓って点での攻撃だからモンスターの素材があまり欠損しないから良いな」


フォレストボアの死体を見ながらソウスケは感心するように頷く。

そして苦笑いしながらザハークの方へ顔を向ける。


「それに比べて俺達はこう・・・・・・ちょっと攻撃が大雑把になってしまうよな」


「そうですね。集団戦を考えると自分の大剣は少し邪魔ですからね。どうしても拳や蹴りがメインになって攻撃があたった部分が吹き飛んでしまいます」


吹き飛んでしまうなら手加減すれば良いのではと思うかもしれないが、二十階層半ばのモンスターレベルになると素材の事を気にして攻撃の手を緩めると思わぬ反撃を喰らう事がある。


(昆虫系のモンスターとか下手に手加減したら結構な確率で生きてるんだよな。基本的にはそれでも行動不能の状態になるんだが動かずとも遠距離で攻撃出来る奴もいるから油断ならないんだよな)


「これでもハイ・エルフですからね。弓の腕には自信があります。それに風魔法とは相性が良いですから!! けど生命力が強いモンスター達は急所を貫いても少しの間は動く事がありますから、それを考えると少し不安な部分もありますけどね」


そう言いながらも接近戦になれば短剣と体術を組み合わせれば大抵のモンスターは何とかなってしまう。


「にしても、解体していないモンスターがどんどん増えていくな」


「速さ重視でダンジョン探索を進めていますけどすれ違うモンスターや襲って来るモンスターは全て倒していますからね。ダンジョンの探索が終わってから私達で解体しますか?」


「解体のスキルも順調に上がってはいるが、いかせん数がなぁーーー・・・・・・前みたいにいっそギルドに頼むのもありだな。ただそうなると前回解体を頼んだギルドで解体して貰った方が面倒な流れが無くことが進みそうだな」


面倒事が嫌いなソウスケを知っているザハークはその方法に賛成だった。

未だないが、面倒事の際に主であるソウスケを侮辱されたらその人物の顔面を思いっきり殴ってしまう自信がザハークにはあった。


「それではここの街に滞在中の期間は解体を行わないという事ですか?」


「そうしようと思う。ザハークも正直解体作業は面倒だろう」


「・・・・・・そうですね。やはり細かい作業は未だ苦手です」


しかしザハークとしては苦手だが、ソウスケの役に立つ事ではあるので速く正確にモンスターの解体を行えるようになりたいと思っている。


「さて、まだ日が暮れていないからもうちょい探索を進めるぞ」


それからもモンスターが襲って来れば即座に倒し、モンスターが死角から襲ってきても返り討ちにしたりと探索を続ける。

そして探索を続けてから三日目の朝、ソウスケ達は厄介なモンスターと遭遇してしまう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る