二百九十八話思ったよりあっさりと

「ちょっと面倒だなぁ・・・・・・余裕は無くした方が良いか?」


ソウスケ達の眼前にモンスターはたった四体。しかも種族はオーク。

戦いの時間がそう掛かる相手でも無い。


だが眼前のオーク達はただのオークでは無かった。


「フォレストオークでは無くハイ・オークですか。スピードは力と同様に高いと見た方が良さそうですね」


「持っている武器は宝箱から開けて得たとは考えずらい。冒険者から奪った物でしょうか?」


ハイ・オークが現れた事に少し驚くザハークだが、それよりもハイ・オーク達が持っている武器に注意が向いている。

四体のハイ・オークが持つ武器は全てがそこら辺にあるような武器では無い。


(ちょっと血で濡れているところがあるな。冒険者を倒して奪った・・・・・・その可能性が無くは無いと思うが、もしかしたら獣系や昆虫系のモンスターの様な武器を必要としないタイプのモンスターが倒した冒険者の死体からハイエナしたのかもな)


眼前のハイ・オーク達が弱いとは思わないソウスケだが、持っている武器から四体のハイ・オークだけで倒せたのかは疑問に感じた。


「まぁ、今色々と考えてもしょうがない。取りあえずさっさと倒そう」


「そうですね。ここで足踏みする必要はありませんし」


「こういうモンスターこそ、魔石以外が気にしなくて良さそうですね」


ソウスケとしてはオークの肉より美味しいハイ・オークの肉は出来るだけ原形を留めて欲しかったが、今それを言うとザハークのテンションを下げるかもしれないのでツッコまない。


「さくっと一体倒すか」


身体強化のスキルを常時発動してからの体術スキルで習得出来る移動技、瞬歩を使ってハイ・オークの背後を捉える。

まだハイ・オークは気づいていない。完全に殺った!!! そう思った瞬間に悪感を感じたグラディウスで眼前の首を撥ねると同時に左腕でバックブローを放つ。


「熱っつ!!! 今詠唱してたか!!??」


モンスターも人と同様に無詠唱や詠唱破棄のスキルを持っていなければ魔法を詠唱無しで発動出来ない。

もしかしてそこまで魔法を極めているハイ・オークなのか? そう思い身構えながらソウスケは後ろを向くが追撃は来ない。


(良く分んないけど、詠唱破棄を使わないならそのまま潰す!!!)


先程と同じように瞬歩を使って高速移動。

ハイ・オークメイジが詠唱を完成させる前にソウスケは横を通り過ぎ、すれ違いざまに首を斬る。

詠唱を完成させる事は出来ずにハイ・オーク明治の首はポロリと地面に落ち、体もゆっくりと前のめりに倒れる。


「悪くは無いですが・・・・・・遅い」


ハイ・オークアーチャーと弓で打ち合うミレアナ。

種族補正で威力や精度が上がっている矢に対し、ミレアナが放つ風の矢が徐々に押していく。


ミレアナと同じく魔力を矢に変えて撃っているハイ・オークアーチャーだが矢を生産する速度が同じでも徐々に短時間で競り負けてしまう。

その理由が打ち合った時間が短時間にも関わらず見抜いたのは流石と言える観察眼だが、この状況を打破出来る先をハイ・オークアーチャーは持っていなかった。


放つ矢に対して更に突風を覆わせ、ぶつかり合った時に減速はするものの突風が身代わりとなり飛び続ける。

そして遂にハイ・オークアーチャーが矢を放つ前にミレアナの風矢が脳天に突き刺さった。


「終わりました。ザハーク、も終わりましたね」


「はい。丁度終わりました。奪った装備は品質が高い物だったかもしれませんが、こいつら自体は大した経験を積んでいませんでした」


ザハークが対峙したハイ・オークウォーリア―は刀身に水を纏えるマジックアイテムの大剣を持っており、纏った水をチェーンソーの様に回転させる事で切断力を上げながらザハークに斬りかかる。


その振り下ろしに大してザハークは自身の力で大剣に水を纏わせ、ハイ・オークウォーリアーと同じく水を回転させて受け止めた。


受け止めて感じたハイ・オークウォーリアーの腕力に表情を少し変えるが、直ぐに千歩を切り替える。

これで終わらないだろうと思いながらも受け止めた大剣の刃を滑らせて懐に潜り、右足でハイ・オークウォーリアーの左足を刈った。


片足の浮遊感と上半身に力を込めたままだったため前方に倒れそうになるが、なんとか片足で踏ん張ろうとする。

だがその状態に駄目押しするかのようにザハークは後ろから張り手をかまして突き飛ばす。


勢い良く地面に倒れ込んだハイ・オークウォーリアーにザハークは大剣を脳に突き刺し、なんとも呆気なく勝負は着いた。

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