二百六十七話やっぱりそっち系か

「これで終わりか」


襲って来たフォレストウルフの頭を短剣で斬り裂き、もう一頭を右足で蹴り飛ばす。


「・・・・・・みたいですね。集団での強襲に関してはこれで全てかと」


五本のウィンドランスが三体のコボルトの上位種体に風穴を開ける。


「最後は後方に待ち構えているモンスターだけですね」


集団で襲い掛かって来たスナイプビーをトレントの死体を使ってなぎ倒す。


合計で百を超えるモンスターの集団をソウスケ達は五分と掛からず倒した。

その間にモンスターは襲撃を一切止めなかった。

だがそれ以上にソウスケ達が圧倒的な速さでモンスターを倒し続けた殆ど無傷といった結果で終わる。


「蛇腹剣に喰わせたら面白そうな奴は何体かいるが、それは全部後にしよう」


「という事は、敵の殲滅というですか?」


「殲滅ってか・・・・・・まぁ、そうとも言うか。取りあえずモンスターの解体等は全部後でだ」


拾える素材は全てアイテムボックスの中に入れていく。

モンスターの素材や魔石を入れ終えたソウスケは自分達にモンスターの集団を差し向けた主犯がいるであろう方向に顔を向ける。


「多分だけど・・・・・・猿かゴリラのどっちかな気がするな」


コボルトやオークの上位種も頭を使った行動を行えるが、それでもソウスケに猿とゴリラのどちらかのモンスターが主犯でやったのではと考えている。


「てか、考えても始まらないんだしさっさと行こう」


一直線に下の階層へと降りる入口へと向かう。

既に気配感知を最大まで使っているソウスケには後どれ程の距離を進めばモンスターた達と遭遇するのか解っていた。


そしてミレアナとザハークもモンスターの位置が分かったところでソウスケは二人に指示を出す。


「・・・・・・くるぞ」


モンスターとの遭遇まで後約二十メートルとなったところで風や木に土の遠距離攻撃が襲い掛かって来る。


「雷刃爪乱」


「・・・・・・ストームランス」


「豪鬼鉄槌」


幾重にも放たれる雷の爪。


音だけで風の鋭利さを伝える暴風の槍。


右腕の筋肉が膨れ上がり、身体強化のスキルとはまた別の強化法によって放たれた鉄槌。


三つの猛撃が視界を覆い尽くす遠距離攻撃を掻き消した。


「・・・・・・やっぱりか」


ソウスケの予想は正しく、十数程いるモンスターの中で一番体が大きく威圧感を放っているモンスターは見た目ゴリラだった。


ただ、普通のゴリラでは無かった。

そもそもゴリラ系のモンスターならば他にも数体程いる。


「えっと・・・・・・グラップラーフォレストコング。フォレストコングの上位種ってところか。格闘家? にしては結構ッ!? させるか!!」


ゴリラ系のモンスター達がどんな行動を起こすのか予測出来たソウスケは即座に風の刃を放つ。

風の刃は見事ゴリラ系のモンスターに命中した。

命中はしたが先程のモンスター達の様にその一撃で倒す事は出来なかった。


「それをされたらちょっと面倒な予感がしたんでな。だから止めさせて貰ったぞ」


ゴリラ特有の両腕で胸を叩くドラミング。

その行為をさせてはいけないとソウスケは直感し、それを中断させる事に成功する。


「・・・・・・コボルトキングの雄叫びと似たような効果を持つ行為をしようとしたのでしょうか?」


「おそらくそれで合ってると思うぞ、それであのグラップラーフォレストコングの相手なんだが「自分が相手をしてもよろしいでしょうか」・・・・・・そ、そうか」


初めて見たグラップラーフォレストコングに対し、ソウスケはグラディウスを鞘に戻して蛇腹剣を指輪状に戻して素手の状態で本気で戦うのもありかと思っていた。

しかしザハークからの申し出を聞き、下に降りて行けばまた遭遇するだろうと思ったソウスケはグラップラーフォレストコングの相手を譲る事にした。

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