二百六十六話意図的?
「そろそろ二十二階層へ降りる入り口だと思うけど・・・・・・モンスターからの襲撃回数は減ったな」
「襲撃、というより自分としては何か試されている気がします」
「私もザハークに同意です。何と言いますか・・・・・・少しでも私達の手を知ろうとしてるような戦い方だったかと」
形相は鬼気迫るもの、死ぬのも恐れず躊躇ない攻撃。
けれどもただ攻撃に徹するだけでなく躱せる攻撃は躱して少しでも長く戦おうとする。
「なるほどな。確かに俺達を観察してるような視線は感じるが、そういう考えがあってのものか。相手を観察して手札を少しでも暴こうとするか。おそらく俺達を観察してるモンスターは人型か」
それ以外に相手を観察し、少しでも手札を暴こうなど人間臭い事を考えるモンスターのタイプはいない。
ただ、ソウスケの中に一つの疑問があった。
(襲って来たモンスターに統一性が無かった。てか、人型のモンスターが一体もいなかった。もしかして人型のモンスターでなくともそういった知能を持つモンスターがいるのか? 魔法特化のモンスターならそういう考えを持っていても可笑しくは無いか)
観察しているモンスターは人型では無い。
だとしても、襲って来たモンスターは一種のモンスターから派生している訳では無く本当に種類はバラバラ。
(種族は違ってもモンスター同士で会話は可能なのか? それなら納得がいく。いや、もしかしたら相手を操る洗脳や強制命令的なスキルを持っているモンスターがいるとか? そっちの方がクソ厄介だな)
出来ればあって欲しくない考えにソウスケは舌打ちをしながら周囲に目を向ける。
「・・・・・・ッ! ミレアナ、ザハーク」
「来たみたいですね」
弓を取り出し、風の魔力で矢を形成するミレアナ。
「蹴散らしましょう」
身体強化のスキルを使い、どっしりと構えるザハーク。
「そうだな。全部倒すだけだ」
二本の剣を構えながらもソウスケは一瞬だけ目線をおそらく下へ降りる階段がある場所へ向ける。
(襲って来るモンスターの数からしておそらく偶々って訳じゃ無し。多数のモンスターに押されて逃げようとする。そして入り口で待ち伏せしている自分が・・・・・・って考えてるんだろうけど、そりゃ無意味な作戦だぞ)
素材や魔石は勿論欲しい。
だが、数が数なのでソウスケは短期決戦を望む事にした。
「行くぞ!!!!」
風の矢が貫き、避けたモンスターの背中を追尾する。
長く綺麗な足から風の鎌が放たれる。
やっと懐に入れたと思えば水の魔力を纏った短剣から水弾が放たれて脳を貫かれ即死。
重要器官を潰しても動く昆虫系のモンスターは風の刃によって微塵切りにされた。
そこまで大きくは無いはず、そう思うのに近づくにつれ実際の大きさより大きく見える拳で体に穴を空けられる、
体を掴まれて振り回され、周りの同族にぶつけられて最後は地面に叩き付けられて視界が真っ暗になった。
自分の有利な状態にしようと毒入りの液体を吐き出す。それを喰らえば相手の動きは鈍くなって自分達が有利な展開になる・・・・・・いつもなら。
赤い鬼は蹴りを放ち、相手の体を両断する。
上に振り上げた足で踏みつぶす。
もはや剣と見間違うような抜き手で腕を、足を斬り裂く。
自慢の鎌を振り下ろすカマキリ型のモンスターの攻撃に対し、逆に手刀で鎌を斬ってしまう。
一つは見た目普通の、もう一つは形が歪な剣を持った人間。
声を上げると真っ直ぐ大群に突っ込んでくる。
この数相手に真正面から突っ込んでくるとかバカなのか?
なんて思っているうちに目の前に雷の刃が迫って来る。
人間が地面に強く足を踏み込めば地面から岩槍が生えて来てモンスターの足を奪う。
気を取られた一瞬に横から何かが自分の頭を貫く。
距離を取って遠距離攻撃を仕掛けようとする。
でもそんな行動を読めてるのか先に風の刺突が我前に迫って来た。
歪な剣で体を気づ付けられたとき、本当にその部分が喰われたのでは錯覚してしまう。
あるモンスターから脅されての奇襲。
これだけの数なら死ぬ奴は居ても勝てると全員が思っていた。
ただ・・・・・・それは盛大な勘違いだった。
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