二百五十五話初めてだがやってみよう

ダンジョンの中で助けた貴族の子供の家に行く事になった一日目。

三人の内、二つの家を周りってソウスケ達は初め言葉を貰い、お礼にと金貨十数枚を貰う。

その後、昼は昼食、夕方には夕食を頂いた。


ソウスケは飯に関しては有難く頂こうと思っていたが、お礼の金貨に関しては貰おうと思っていなかったのだが、男爵家の当主が深く頭を下げて是非受け取って頂きたいと言うのでソウスケはそれ以上何も言わずお礼の救済報酬を頂いた。


貴族の懐事情など全く知らないソウスケだが、金貨十数枚はFランクのソウスケ達が本来稼げるはずの無い金額である。贅沢しなければ一か月程働かずに済む。


帰り際に助けた子供二人にそれとなくアドバイスをしてからソウスケ達は宿へと戻った。


翌日、最後の一人は子爵家と先日ソウスケ達が訪れた家よりも豪華になっており、慣れないソウスケは少し緊張していた。


しかし子爵家の当主はソウスケが冒険者であろうと柔らかい態度で接し、男爵家とのやり取りとあまり大差なく事が進んでいった。

違いがあるとすれば、救済報酬の値段が男爵家の三倍ほどだった事ぐらいだろう。


そして昼食が終わり、子爵家から離れようとした時にソウスケは子爵家の当主に声を掛けられる。


「ソウスケ君。よければだが、息子に稽古をつけてやってくれないか? 勿論その報酬も払う。どうかな?」


どうかな? と言われても、戦い方を教える事自体に不満は無かった。


(けどあまり時間を掛けたくはない・・・・・・よし。四日間だけ色々と教えてやるか。それ以降はガチでダンジョン攻略に挑む)


その三日間を大きな最後の休暇にすると決めると当主の息子、フォルスを鍛える事を了承した。


初日、子爵邸にはソウスケだけが向かっていた。

ミレアナとザハークは自分達にできる事は無いと思いダンジョンに潜り、動きが鈍らない様に戦い続けるとソウスケに伝えてから向かった。


「昨日ぶりだな、フォルス。しっかりと寝たか?」


「はい! しっかりと八時間は寝ました」


「そうかそうか、それは良い事だ。今お前は絶賛成長期だからな。夜はしっかりと寝ないとな」


得意げに上から話すが、ソウスケは自分自身にどの口が言ってるんだと自虐していた。

今でこそ夜から朝にかけて十分に睡眠を取っているが、日本で生活していた頃はゲームにスマホを使って夜更かししまくりであった。


「それじゃあお前に上げたスキルの書の風魔法と脚力強化についてだが、俺はお前にその二つを使って体術を鍛えて欲しいと思っている」


「? それでは一旦長剣の訓練はしない方が良いということですか」


「・・・・・・いや、感覚を忘れるのは不味いから、素振りだけはきちんとしておこう。風の魔力は剣と相性が良いだろうからな」


主に斬撃の強化に繋がる為、ソウスケとしては無理しない程度に長剣の訓練はしておいて欲しかった。


「それと体術って言っても、折角脚力強化のスキルを習得出来たんだから蹴り技をメインに最初は覚えようと思う」


フォルスへ伝えたい事を伝え終えると、ソウスケは早速自身が覚えている蹴り技を実演し始める。

そして全ての蹴り技を終えた後に、軽い説明を添えた技名が書かれてある紙をフォルスへ渡す。


「そこまで細かい事は書けてないけど、多分解る筈だ」


ソウスケとしては技名の横に添えてある文章でフォルスがどんな技だったか思い出せるか不安だったが、それは要らない心配であった。


「説明を読めば技のイメージはしっかりと浮かびます」


「それは良かった。それじゃ、風の魔法に関してだが・・・・・・ぶっちゃけ使えるようになった?」


「一応初歩のウィンドボールとカッターは発動する事が出来る様になりました」


「上々だ。それなら風の魔力をしっかりと扱えるんだから基礎的な事はあまりやる必要は無いか」


フォルスが現時点で出来る事が分かったので、ソウスケは早急に訓練の内容を変え始めた。

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