百八十二話以前の常識
「やぁ、おはよう二人共。ん? 顔が少し赤いけど何かあったのかい?」
「いや、まぁ・・・・・・ちょっと。護衛依頼に支障はないんで安心してください」
「そうか、それなら良いんだけど、余り無理はしないようにね。それと、こちらの方がこれから護衛する商人のレンカ―スさんだ」
集合場所へやって来た二人にブライドは護衛対象であるレンカ―スを二人に紹介する。
「私がレンカ―スだ。ブライド君から二人の事はとても優秀だと聞いている。頼りにさせて貰うよ。とは言っても、二人は護衛依頼が初めての様だからあまり無理はせずに出来る範囲で頑張ってくれ」
「お気遣い有難うございます。無茶をせず邪魔にならない程度に頑張ります」
ソウスケと同意という意味でミレアナもレンカ―スに頭を下げる。
「はっはっは、冒険者にしては随分と礼儀正しいな。冒険者に成り立ての奴らは生意気というか・・・・・・言葉遣いがなっていない奴が多いからな。それに比べて君は本当にしっかりしている」
レンカ―スとしては、本当にソウスケの言葉遣いに驚いており、内心でソウスケの事を貴族の子息では疑った。
ただ、ソウスケとしては日本で生活している時に、目上の人には敬語を使うのが普通だったので特に変な事だとは思っていない。
「確かにレンカ―スさんの言う通りだな。冒険者に成り立ての奴ってそこら辺失敗というか・・・・・・痛い目に合う奴が多いからな」
「ラックの言う通り少し前にそんな奴いたね。体が少し大きいからってランクが自分より上の冒険者に舐めた態度取ってボコボコにされた奴。あれは笑ったね」
リーナは当時の事を思い出しながら小さく笑う。
ソウスケとしてはその冒険者が何故自分よりランクの高い冒険者に舐めた態度を取ったのか訳が分からなかった。
(不正でもしていない限りランクが自分より上って事は、レベルも踏んだ場数の数も上だって気づかないのか? いきなり暴力を振るうのはどうかと・・・・・・少しだけ思うが、自業自得と言えなくもないな。冒険者同士の小さいいざこざに法律なんて適用しないだろうし)
「私それ間近で見ていたけど、綺麗に吹っ飛ばされていたよ。こう、弧を描くように」
ミーシャの大げさなジェスチャーを見たソウスケは、それはもはや芸術の域なのではと感じた。
そして集合時間の五分前にバックス達のパーティーが到着し、目的の街へと向かう。
「ねぇねぇ、二人はパーティー名を決めてないの?」
「はい、パーティーとは言っても人数は二人だけなんで名前を付ける必要は無いかなと思って」
馬車の中でじっとしているのが退屈に感じたミーシャはソウスケに話しかける。
「確かにパーティー名を付けているパーティーの人数は大体四人以上が殆どだからね。確かに二人だけだとパーティー名は付けづらいところがあるかな」
「あ~~・・・・・・ブライドの言う事も一理あるね。二人はメンバーを増やそうって思わないの?」
冒険者がパーティーを組む場合、最終的に四人から六人で組む事が多い。
ただ、ソウスケとミレアナの場合は二人共ランクとはかけ離れた力を持っているが、ランクを必死に上げようという気持ちは無い。
ただ、だからといって危険な行動を取らないかといえばそうでも無く、コボルトの巣を殲滅するなどギルドにまずは巣を見つけた、巣があるかもしれないといった報告をせずに倒してしまうので、一般的な冒険者が自分達とパーティーを組めるとは考えていない。
(俺に秘密が多いってのが一番の理由か・・・・・・まぁ、俺が自分の動きたいように行動したいって理由も大きいな)
四人は暇な時間を潰すように会話を楽しむ。
しかしバックスのパーティーメンバーである二人は先日の出来事もあって、会話に入ってくることは無かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます