百三十二話よく分からないけど、とりあえずお金が掛かるんだろうな

自分を訪ねて来た執事がどの様な用件で来たのかを理解したソウスケは、特に予定は無いので外に待機してあった馬車に乗ってマーカスの息子が経営している紹介へと向かった。


「私もオセロとチェスという娯楽を体験させて貰いましたが、大変楽しい思いをさせていただきました。私個人としては娯楽の革命ではと思いました」


「そ、そんな大した物じゃないですよ」


目の前の自分より圧倒的に年上の男性に頭を下げられ、敬語を使われる事に未だにソウスケは慣れていなかった。


「まぁ、やりようによって賭け事にもなりますからね。それに上手くいけばオセロやチェスの大会が開けたりするのではとちょっと思っています」


ソウスケは過去に読んだ事がある漫画の中にオセロで金を賭けて戦う漫画を思い出し、それを再現できないかと考えていた。


(名前は・・・・・・なんだっけ? 確かルールに一手一手に時間制限があったような・・・・・・いや、持ち時間だったか? 一手の時間制限なら砂時計でも造ればルールに加えられそうだな)


どうやって砂時計を造ろうかとソウスケが考えていると、執事がテンション上げ気味でそれは良い考えだ、現実味のある話だと言い始めた。


「オセロやチェスが広まれば一、二年後には大会が開けそうですね。それに特別何かに秀でていなければいけないという訳ではありませんからね。誰でも夢を見れる可能性がある大会です」


「・・・・・・確かにそうかもしれませんね。ただ、誰でも参加できるというところが良い点であり、本当に大会を開くとしたら面倒な点ですけどね」


誰でも参加できるという事は、参加人数が圧倒的に多くなるという事。一般人、商人、冒険者、貴族、果ては王族までもが参加できる。勿論そうなれば八百長や買収、脅迫等で一般人や冒険者は天辺を狙える可能性が低くなる。


その辺りはおいおい考えるとして、参加人数の多さをどう捌けば良いのか、ソウスケは日本で生きていた時に知識・・・・・・というより、部活をやっていれば誰でも考え着く内容を思い出した。


(それぞれの街で大会を開き、そこで勝った代表者達が大きな街に集まってトーナメント形式で戦う。それが一番だろうな。でも・・・・・・拳闘、剣闘試合と違って観客が楽しめる内容じゃないから大会を開くのに、そこまで金が動くのかが疑問だな)


内心にで苦笑いしながらソウスケはオセロやチェスの大会を開ける日は遠いだろうな考えた。


「そうですね、大会を開くとなれば大量のお金を動かさなければなりませんからな。しかし・・・・・・本当にソウスケ様は冒険者なのですか? 学び、経験を積めば十分に商人になれるとは思いますが」


「無理ですよ、俺に商人なんて。精々アイデアマンが良いところですね。それに・・・・・・ほら、あれじゃないですか。俺の勝手な見解かもしれないですけど、商人って腹黒くて搦め手が上手くて、口が達者で、上に行けば行くほど権力が大きくて、後ろめたい事を躊躇わない、そんな印象何ですよ。表の顔は良くても裏で何しているか全くわからない。勿論マーカスさんやその息子さん、トーラスさんを悪く言う訳じゃないですよ」


自身が言った通り、マーカスが自ら表に出せないような事を裏でしているとはあまり考えられなかった。

だが、よくニュースで裏で悪事を働いていた、堅気でない人間と関係を持っていた有名人を見ていた為、どうしても商人を完全に信用するという事が出来ず、そんな黒い世界に飛び込みたいとも思わなかった。


「それに・・・・・・俺、あんまり口が達者じゃないんですよ。修羅場になった時に考え方は商人とは結構かけ離れていると思うんですよ。もし、商談相手が脅迫とかして来たら、思わず殺してしまうかもしれないんで」


「・・・・・・なるほど、確かにソウスケさんは商人に向いていない様ですね。いえ、戦闘能力が高い商人というのは面白そうですが、ソウスケさん。もし、自分や自分の周りにいる人に害が及ぶようならば、その根元まで潰す・・・・・・そういった考えをお持ちですよね」


ソウスケは目の前の妙齢に男性に対して畏怖を覚えた。


(・・・・・・俺はこの人を前にして自分の力を見せていない。そして俺が実際に実力が高い方だとしても、雰囲気は全く追いついていない。もしかして俺が一人でダンジョンのラスボスを倒した事が伝わっているのか? だとしても、俺の性格まで分かるのか?)


自分に害をなす人間を殺すかどうかはさておき、元は今後の人生の為に潰しておいた方が良いとは考えていた。


(・・・・・・まずは人を殺す事に慣れないとな。後、暗殺とか俺がやったてばれたら絶対に面倒だから、そこら辺も考えておかないとな)


ソウスケの思考は着々と異世界色に染まっていた。

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