軍管区
●【紫欲区ストラフ】
八つの軍管区のうちの一つ。
本来二対の翼を広げたような街並みから『四翼区』と呼ばれていたが、ベルンシュタインの統治政策によってその名の持つ意味が変貌した地区。
そこは、人として生きるための欲求を満たしてくれる、云わば堕落と誘惑の溢れる街。
配給制度が設けられ食に困ることも少なく、
住居はボロ屋であろうが等しく与えられ、
繁華街や娼館街が原始の欲を満たしてくれる。
落ちぶれた人間達の最低限の欲望を尊重する、それが『紫欲区ストラフ』である。
この恩恵は身分の違いに関係なく、等しく与えられる。外民であろうと、ここでは欲望のままに平穏を過ごすことを許されるのだ。
しかし、必ずしも『ストラフ』は楽園という訳では無い。
繁華街は犯罪組織のシマ、平然と人身売買が執り行われ、娼館街では一歩間違えば男女問わず虐げられることもあるであろう。
物騒な話だが、他人を食い物に己さえ良い暮らしが出来ればいいならうってつけの地。
中心の広場から東西南北に大きな通りが広がり、十字に街並みが広がっている。
通りにあわせて特徴は違うが、その内の1つは繁華街となっていて、路地に入れば娼館が軒を連ねる。
日用品や食品の配給は中央広場で定期的に行われる。
配給分の資金は殆どは軍部でなく、娼館の土地代や外民から平民へ身分を違法に変えたいものから巻き上げた「手数料」からなる。
治安が良いとは言えないが、暴動は起こりにくい。
何もせずとも最低限の暮らしができるため牙を抜かれた外民がほとんどだからである。
もちろん、それでも暮らせないほど地に落ちても、娼館での仕事や人身売買に回されるため、心配はない。何も。
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