　シオンは息も絶え絶えといった様子で、喋り続ける。

「わたし、は……みかた、……なかない、で」

　でも、彼女は本当に苦しそうで今にも死んでしまいそうだった。

「だいじょう……ずっと、そば……。……わたしの、だいすきな」

「しおん！」

　シオンは、それきり動かなくなった。

　俺はいつまでも泣いていた。

　でも、泣いて泣いてずっと泣き続けていたからか、なぜだか少しすっきりした。

　これで、全部失ってしまった。

　なら、もうこんな世界に未練なんてない。

　俺は、静かにシオンを横たえて、決意した。

　絶対に助ける。絶対に取り戻す。俺は絶体に……っ！

　どれだけ苦難が待ち続けていても、俺はもう膝を屈しない。

　シオンが頑張った事を無駄にしたりなんかしない。

　最後まで俺の事を心配してくれていた彼女に報いるためにも、全てを救ってやる。

　運命改ざんスキルは、憎しみや怒りの感情を持つ事。

　運命停止スキルは、諦めの感情を持つ事。

　即殺スキルは、己を励ます、鼓舞する事。

　そして魔人を封印する方法は……。

――ざっと千人以上の魔法で、全ての属性をぶつける事！

　この手の中にある情報を確かめる。

　なら、もうやる事は分かった。

「こんどこそぜったいに！」

　俺はこんな運命をゆるさない。

　大切な人を悲しませてくるしませる運命を

　乗り越えるまで憎む事をやめてやらない。

　だから。

　俺に皆を助ける機会を！

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