第22話 スキルの効果



 みっともない姿を見せてしまった。

 落ち着いた後、俺は色々とシオンに質問して、今の子の状況がどうなっているかを把握した。


 どうやら、俺は土壇場でスキルを発動させたらしい。

 その発動条件は、怒り……だと思う。


 きっと、シオンを殺され、俺も殺されるとなった時に、その条件を満たしたのだろう。


 それで運命改ざんスキルが発動し、過去が書き換わったのだ。


 だから、過去にさかのぼる系の効果ではないと思う。

 シオンに確認した時刻は、深夜から夜明け前といった時間。スキルを使用する前と同じ時間だ。日付も過去になっていたりはしていない。


 周囲が明るかったし、先ほどは混乱していたから、日時が分からなかったけれど、今は夜だ。


 大量に用意されたかがり火の中で、魔人復活の話を聞きつけた父が、キルトスの町の人達を避難させているというのがこの状況。


 過去の話を聞くに、分かったのは一点の情報の違い。


 この世界では、どうやら最初にキルトスの町に出掛けた時、父も一緒についてきたらしい。


 それで、前の世界より早く、避難準備を整える事ができたらしい。


 俺達は一度も屋敷に戻らず、この町に滞在している。

 馬車で通る時、夜になると水かさが増す橋を通ってきた。

 遠回りすれば通行できなくはないけど、かなり時間がかかるようだ。

 だから父は、いったん屋敷に帰るより、このままここで仕事をするのが良いと判断したのだろう。


 それにしても、書き換える過去の条件って自分では選べないんだろうか。

 今は、制御できてないから過去を自由に書き換えれないとかか?


 自分で何を書き換えるか選べれば、かなり便利になるんだけど。


 今でも十分便利といえば、便利だけど。


 そんな事を考えていたら、重々しい音が響いた。


 それは、徐々に近づいてきている。


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