第6話 散歩の提案
シオンが持ってきた朝食を食べ終わった後は、久々に散歩に出かけることになった。
おしのびで家の近くの領地をぐるっと回るだけだが、大切な事らしい。
何よりずっと家の中にいるのは暇だったから、ちょうど良い。
他の家の貴族もこの年代から、外に出してもらえるようなので、これからどんどン外出の機会が増えてくるだろう。
身支度をととのえながら、シオンに向かってこれから出かける場所の事を尋ねた。
「ラックス様、今日はキルトスの町まで行ってみようと思います」
「きるとすはたしか……いえのにしにあるまちだったな」
「はい、そうです。さすがお坊ちゃま。前に私が説明した事をよく記憶されていますね」
俺の家の東西には二つ町があって、東にはラウンドという町が、西にはキルトスという町が存在している。
どちらものどかな景観の町で、貴族のお忍びの保養地としてよく知られているらしい。
「キルトスにはラックス様の好きな本もたくさんありますからね。良い物があったら、買って帰りましょう」
「そうだな」
俺は別に読書家でも何でもないのだが、暇をもてあましている状況ゆえによく本を読んでいる。
それゆえ、他の物達からは読書が好きなインテリ坊ちゃまだと勘違いされているようだ。
俺としては外で走り回って遊ぶのが好きなので、そういう評価がつくのは少し不本意であったりするのだが。(誕生日プレゼントとして本を贈られても、気持ちは嬉しいが、ちょっと戸惑うし……)
だがそれも、歳をとって外出の機会が増えれば、なくなっていくだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます