第13話 期間限定

 近藤翼は会社を辞めた。

 通り魔から私を助けたことは称賛された。

 だが社長令嬢との縁談をなしにしたことへのケジメだった。

 私も会社を辞めた。

 破局の原因は間違いなく私だったしもうここに居場所があるとは思えなかったからだ。


 私は人を惹き寄せる、モテるということが必ずしも良い事だけじゃないことを思い知っていた。


 翼と私。私たちは期間限定じゃない恋人になった。


「お前が大事になっていたよ。愛している。何もかもちゃんとケリをつけるから俺と正式につき合ってくれ。来美」

 翼にあの日病院で言われたことをちゃんと翼が実行してくれた。





「なあ。一緒に小さな弁当屋さんでもやらないか?」

「えっ?」

 公園の紅葉が始まったイチョウ並木を翼と二人で歩いていた。

「俺の憧れ。仲の良いカミさんと小さな店を開くのが」

「えっ? それって」

 私は胸が高鳴っていた。

 

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