第8話 たて続けに告白される

 もしかしたら誰かが仕掛けた罠かもしれない。


 私は一週間で5人の男の人に告白された。


 何人も告白されたことなんて人生初で戸惑っている。

 近藤係長と付き合ってさえいなければこの5人のなかからお付き合いしてたはず。


 いや近藤翼と付き合っているからこそ私にはなにか得体の知れないモテフェロモンがくっついたのかもしれない。


 謎だ。

 謎すぎる。


来美くるみ。あんた最近色気がムンムンしてるや」

 同期の奏枝かなえが給湯室ですり寄ってきた。

「なに言ってんの? そんなことないよ」

「なんかさ。女のアタシでも変な気分になって来たんだけど?」

「えっ? 変な気分って」

来美くるみをいますぐ抱きしめたい」

「勘弁して」

 奏枝かなえはまんざら嘘でもなさそうな顔をしていた。

 本気……?

「なんだろうなあ。来美くるみからいい匂いがするよ」

「またまた〜。やめてよ」

 奏枝かなえは抱きついてきた。

「十秒だけいい?」

 私はドキドキした。

 だって女の子に抱きしめられるなんて想像したことなかったからだ。

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