都市伝説はすぐ側に

「そっかなぁ」

「そうそう。それより早く問題解いて。昼休み、終わっちゃう」

「うっうん」

 慌ててノートに向かうミナを見て、マカは微笑みながら頭を撫でた。

「まったく。ミナは可愛いわね」

「えへへ」

 嬉しそうに笑うミナを見て、マカは思った。


―ああ…。この子の気は本当に美味しい―


 マカは若い人間の生気を喰う。

 しかしその食欲以外、普通の女子高校生と何ら変わらない。

 本当の年齢も学年と合っているし、見た目も変わることはない。


―ただ、力を使う時に眼が赤くなる以外は…―


 そして若い人間の生気を喰うこと以外は。

 マカの好物はミナみたいな純粋な心を持っている者。

 【解放】する力を持つ者のように雑多喰いはしない。

 普段は普通の食事で間に合わせているが、時々どうしてもたまらなく喰らいたくなる。

 けれど喰らい過ぎると、喰われた人間は倒れてしまう。

 一晩眠れば元に戻るが、都市伝説にまでなっているのなら控えた方が良いだろう。

 しかし今はもう大丈夫。

 ミナが側にいるから。

 側にいるだけで、食欲は落ち着く。

 だから平気。

「ん? マカ、どうかしたの? にこにこしてる」

「うん。ミナが側にいてくれて嬉しい」

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