雨のち晴れ

お好み焼き屋のりゅうくん

第1話 豹変

優菜side


私は1年前、父を亡くした。

父がまだ生きていたころはどこにでも居る幸せな家族だった。お母さんはいつもにこやかで料理が上手な人でお父さんはサラリーマンとして働いていた。なんの苦労もしてなかったのに 父がいなくなってからお母さんは豹変してしまった。

パートの仕事は辞め 夜の仕事を始めだした。やがて毎日家に男を連れ込むようになり 家は酒の空き瓶やらなんやらで荒れ始めた。

男が帰ると「あなたはほんとになんも出来ないの?こんな掃除もできない子に育てた覚えはない」「あの人が死んだのもあんたのせいよ」「あんたなんか産まなきゃよかった」そんな言葉が飛び交うようになり 時には手をあげられることもある。そんな毎日から逃げ出したいが檻から抜け出すのはそう簡単ではなかった。

今日も学校から帰ってくるとお母さんはイライラしている。「はぁ、私がこんな大変な思いしてるのにあんたは学校行って勉強するだけ?ふざけてるの? 」ドスッ鈍い音が部屋に響き渡った。私また殴られたんだ。 もう何もかも嫌になった私は気づくとドアを勢いよく開け走り出していた。あれ?案外簡単に抜け出せてたことに驚く。だが、後悔はしてない。だって、お母さんがこうさせたんだもん。

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